2x2(ツーバイツー)によるスラロームトレーニング

2x2(ツーバイツー)によるスラロームトレーニング

2x2理論によるスラロームのトレーニングについて書いています

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今回はジャンプ障害に対するハンドリングについて考察します。

例えば、下の図1のようなケースを考えたとき、多くのハンドラーは[A]の障害にコミットさせるために「アウト」「オーバー」といった声符によるコマンドを採用しているかと思います。

図1

このアプローチは、アジリティーのコース難易度の上昇によってジャンプ障害の裏を跳ぶシーケンスが生まれ、その攻略のために後から追加されたルールだと思われます。

つまり、従来はジャンプ障害を表から跳ぶケースだけを想定し「ジャンプ」という声符コマンド一つでルール化していたが、裏から跳ぶ必要性が生じ「アウト」という声符コマンドを追加しルール変更を行い対応した、というようなイメージです。

コース難易度がこれ以上上昇しないのであれば、上記の対応でも問題にはならないのですが、例えば下の図2のようなケースを考えたとき、少し対応に困ってしまいます。

図2

ハンドラーは[A][B][C][D]の中から任意の障害を跳ばす必要があり、「アウト」というコマンドだけでは[A][B][C][D]の中からどれを跳ぶかを指示できないことがわかります。

ハンドラーは障害間を通過させた後、左右のどちらの障害に進むかを指示する必要があり、また、[A]の障害が正解の場合、[B]の障害を通過する指示も必要となります。

これを従来のアプローチのように声符コマンドの追加で対応しようとすると、「アウト」「レフト」「パス」のような3つの声符コマンドを呪文のように立て続けに唱える必要があり、どうも現実的ではありません。

これは、コース難易度の上昇に併せて付け焼刃的にコマンドを追加して対応していくアプローチ自体に問題があり、コマンドの煩雑化、ルールの衝突、例外ルールの継ぎ接ぎ的な導入等を招き、結果として、それほどの成果が見込めないにも関わらず、ハンドラーやワンちゃんに相当な負荷をかけることになってしまいます。

図1の対応を経て図2に進むことで上記のような結果を引き起こしていることから、そもそも図1の対応に何かしらの問題があると考えます。図1ではなく図2が先に問題として提示されていたとすると、そもそも声符コマンドを採用すること自体がナンセンスだと感じるかもしれません。。

図2の[A]を攻略するために必要なことは「障害間の通過」「通過後の左の旋回」「ダミー障害の通過」といった情報を伝えることであり、また、これらの情報をシームレスに伝えていく必要があることから、声符ではなく体符によるアプローチの方が適していることがわかります。

できるだけシンプルに、体符のルールを下記の2つのみとし、これにより図2の攻略を考えてみます。

ルール1:ワンちゃんの進行方向はハンドラーの体の向きに並行に進む
ルール2:ワンちゃんとの幅はハンドラーの手の横への上げ下げで調整する

まず「障害間の通過」に関して、「アウト」といった声符コマンドを使わずに、ハンドラーのポジション、体の向きで指示します。これはルール1の適用により可能で、図3のようなイメージになります。

[図3]

裏のジャンプ障害を指示する際、「アウト」という声符コマンドとともに、ハンドラーが体を回して指示することにより、結果、表からジャンプ障害を跳んでしまうケースがよく見られますが、これはハンドラーの体の旋回とともに、ハンドラーの体の向きが表の障害を示し、それに対応し表の障害を跳んでいるためで、このことから、ワンちゃんがルール1をナチュラルな指示として自然に身につけていることや、声符よりも体符の指示が強いことがわかります。

次に「通過後の左の旋回」ですが、これもルール1の適用により可能で、図4のように、障害間の通過後(厳密には通過をコミットした後)にハンドラーが体を左に回していくことでワンちゃんは左に旋回することになります。

[図4]

最後に「ダミー障害の通過」ですが、これはルール1とルール2の適用により可能で、図5のゆに、ハンドラーは[B]に対して体の向きを平行にして進み、その間、手を横に上げ、[B]を通過することをワンちゃんに伝えます。

[図5]

ルール1とルール2を組み合わせていくだけで、図6のような複雑なシーケンスも対応可能となります。

[図6]

上記の考察から、ジャンプ障害においては情報を連続的に伝えていく必要があるため、声符コマンドではなく体符コマンドが適していることがわかります。また、コースの大半を占めるジャンプ障害の声符コマンドを省くことにより、ハンドリングに余裕が生まれ、その分を体符コマンドの精度を上げることに使うことで、より正確にワンちゃんに情報を伝えることが可能となります。