為替のファンダメンタルズの基礎 貿易収支について(前編)
ここにきてじわりと円安気味になってきます。
この解説として、日本の政治の不安などと並び経常収支の黒字縮小、
さらには赤字化がその大きな原因との引用されていますが、
先日のブログで予告しましたようにその仕組みを、できるだけ単純化して
解説してみたいと思います。
書いていたら長くなっちゃいましたので今日はその前半です。
まず、ある国が、国際社会においていまだ発展段階の初期である
という状況を想起して考えて見ましょう。
先進技術や、ひょっとすると食料やエネルギーなど、その国の
国内では調達ができない、輸入しないとやっていかなければ
ならないものがあった場合、当該国はどうしても世界的によく
流通している通貨を必要とします。
唐突ですが、自分が上野のマックで働いているとして創造して見ましょう。
アジア系の方が入店してきて流行のQTRパウンドバーガーを注文しました。
ところが、そこで会計をする段になって手持ちの円がない!
ペソしかないのでそれで払うと言い出しました。
これについては、マックで働く私は、マニュアルに書いているいない
にかかわらず、その支払いを拒否するでしょう。
おそらくその際に、その外国の方が立派な身なりをしていて、普通なら
上顧客のように見えたとしてもペソでいいとはいわないでしょう。
ここで、かれが米ドルではらっても普通断るでしょうということに
ついてはおっしゃるとおりなのですが、逆に東南アジアに旅行にいかれたときに
米ドルや日本円が絶対に断られるかといえば実際は否、逆にありがたがられた
経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
最悪米ドルならば、自分の財布から立替えてその場でその人と法外なレートで
両替した後、そこでもrった米ドルを、バイト終了後に街の両替商に行って為替差益を
もらいバイト代を補填するなんてことも可能であればペソと状況は大きく違います。
こういた日々の買い物レベルをはるかに超える金額の取引、たとえば最初にあげた
類の、食糧の輸入や原油などのエネルギーの輸入に際しては、一国全体の輸入金額
などは全体の金額が張るということもあり、自分の国の通貨で国際市場で取引
できる国の数のほうが実際は少ないわけであったりします。
で、ここでその国にとって何が必要かといえば、「外貨準備」であるわけです。
ということであればこの外貨準備でもっとも大事なことは、ここで準備すべき貨幣とは、
ほとんどの場合「米ドル」という国際的に大きな買い物をしても通用する通貨を
準備することが肝心なのだよということですね。
ところで、それではそのように通貨の力の基盤を最初から持っていない国はどのように、
その外貨を取得するのかを考えたときにそこには4つの方法があるわけです。
(これは先進国であっても同じですが)
ここからはその外貨を米ドルであるとして話を進めていきます。
その1 アメリカに基盤のある銀行(日本の銀行のNY支店なども含む)から
米ドルを借りてくる。
これについてはその借り入れを行う主体が、それなりに高い信用を持ち
かつ弁済時に米ドルを持ってこれるかどうかの力次第ということになりますよね。
国であるか私企業であるかにかかわらず世界的な信用を要します。
その2 外国為替市場で自国通貨をうりドルを買う・・・
昨今の日本はFX投資が大流行で、為替取引なんかめちゃくちゃ簡単にできる
とお思いの方は多いのかもしれません。
しかし、上で書いた日本に来て外貨で買い物をしようとした方の話を
思い出してください。
そもそも、その程度の信用力しかない通貨を、自分の国では堂々と使える
紙幣と簡単に交換に応じてくれるかどうかは、相手方の判断にゆだねられるわけで
そこで、メジャーな通貨とそうでない通貨で決定的な差が出るわけです。
※ さらに法規制もあります。
そういうこともあり、経済的に発展途上な国は、さらに自主的に自国民の為替の
売買をすることを禁じています。
なんとなれば、政府が何らかの形で自国通貨をうってドルを買わなければ
ならない状況に追い込まれたときにすでに相手国(たとえばアメリカ)に自国通貨
がすでに大量に出回っており、リスク回避の考え方からもうこれ以上の買い
入れはできないといわれてしまうことがないように、外貨取引そのものを
抑制しようという動機などが働くわけです。
アメリカ人にとっても大事なお金を、海のものとも山のものともわからない
変な国の通貨などと快く交換してくれるはずもないわけですね。
実際に1960年代の日本人は海外旅行に行くためであっても両替のできる金額に
上限がついており、いくら俺は金持ちだよといってもそれ以上はできなかったわけです。
その3と4 それでは、貧乏な(というよりいまだ信用のおぼつか無い)国は外貨が獲得できないのか?
といわれれば、そんなことはありません。
ここでは人間の経済活動の基本を使えば外貨を獲得できるのです。
その3 アメリカに物を持ち込んで売り、代金を米ドルでもらう。
その4 アメリカに行って働き、賃金を米ドルでもらう。。。
つまりこの3と4はアメリカ人以外がアメリカで商売できればOK、そうでなければ
だめな話ではあるものの一般の経済が普通に働いていればお金を稼ぐことが
できますよという話なのであります。
第5の方法 極東の某国では米ドルそのものを刷っちゃって・・・(爆)以下自粛
ここで、いわゆる貿易収支を含む経常収支、などの国際収支の統計が何を意味しているのかを
押さえてみて、貿易と通貨の関係を考えると話は一気にわかりやすくなると思います。
結局、貿易収支とは、日本人がものすごく大雑把に海外で物を売って得た外貨と、
日本人がそれを使って輸入した金額の差額がマクロ的に反映されて表示されているんだよ
と考えてよいわけです。
もちろん、輸出企業は受け取った米ドルの多くをすぐに円に変えるだろうし、輸入企業は原則
銀行で円を売ってドルを買いそれで代金を支払う行動をとっており、輸出企業がそれによって
得た外貨をそのまま輸入代金に振り返るなんてことは、あんまりありません。
ただし、日本全体で何をやっているのかを考えたときにその輸出で得た外貨と輸入で使った
外貨、これに上記の例で言うところの労働を商品としたサービスの出入りまで入れると
金融以外の経済活動で日本人が得た外貨と使った外貨の差っぴきを計算できるというわけで
これがすなわち貿易収支の黒字の金額ということになるわけです。
またそれはいったい何なのかといえば、日本人全体として、受け取った米ドルのほうが
支払った米ドルの金額が大きく、全体として、日本人が新たに保有した米ドルの金額が
貿易収支の黒字の金額になるわけです。
ここまで考えてきて、
まず、本当に国際経済において初期の段階の国はそもそも貿易赤字にはなりえない
ということがわかります。
なぜなら貿易で得た金額よりもそれを使って何かの物を買い入れた金額が大きいからこそ
貿易赤字となるわけですが、一国の保有する外貨準備よりも大きな買い物はファイナンスを
つけない限り金がないのでできないということになります。
そこで、経済の発展段階の国はそれゆえにこのようなファイナンスの対象にならないがゆえに
貿易赤字国とはならない・・・そういうことになります。
ここでもって、アメリカがなぜ何年も何年も貿易赤字を放置できたのかを見てみると
それはまさに、米ドルが国際的な信用が非常に高く、またアメリカにお金が
借りられる軍事的経済的力をずっと保持していたからにちがいないのです。
以下そこでGAPが生じた米ドルがどうなるのかを考えつつ 後半に続きます。