一昨日、野村證券で働いている後輩が久しぶりに研究室に遊びに来た。


暇つぶしのように経済学をやっているように見えたが、


本人は「不毛な仕事していると勉強したくなる」と言っていた。


一緒に話をしていた他の友人と、前々から気になっていた論文について話をした。

その論文のテーマが、タイトルにある最低賃金についてである。


最低賃金の引き上げは、前々から議論されてきた問題である。


民主党は確か、全国で時給800円、各都道府県平均で時給1000円に、

最低賃金引き上げを目指していたと思う。


このような政策が、果たして貧困解消に役立つのか、企業が耐えられるのか、失業率はどうなるのか、

といった議論が様々なメディアでされてきたが、

このテーマに関して日本では実証研究が余りなされてこなかったらしい。


この問題に関して、一橋の川口先生と森悠子さんが最近論文を発表した。

http://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/09e032.pdf


彼らの研究をざくっと要約すると、


最低賃金で働く人々の内、年収300万円以下の世帯の世帯主は15%程度、

約50%以上が世帯年収500万円以上の子どもや妻など世帯主以外の人である。


要するに、最低賃金率で働いている人の割合はけっこう少ないということである。


結論としては、今話題になっているような派遣労働で働く人々などを含めた貧困層を救うために

最低賃金引き上げが有効なのかは疑わしいという。

つまり、この政策はターゲティングに失敗しているのである。


さらに、高卒で働く労働者の職を高校生が奪ってしまい、逆効果になる可能性すらあるという。


この分析が正しかったら、上に書いた政策は見直した方が良いんでないか?


前々から関心のある話題であったので、僕が実証研究であるにも拘わらず素人、おもしろく読めた。

政府の方でも冷静に考えてもらいたいものである。



他に印象に残った話。


証券会社が金融工学を乱用して大不況の一端をになったことについて、

世間から何故か金融工学や経済学まで白い目で見られることも度々ある。

中にはもっともな批判もあるが、

交通事故の責任を車の発明者に取らせようとするかのような暴論がかなり多い。


挙げ句の果てには、ブラック=ショールズの公式(金融工学の有名な公式)を証明するために「伊藤の公式」

が使われたために、伊藤清先生まで批判する奴もいる。


うんざりする気持ちもあるけど、よく分かっていない奴らに振り回される人たちが可哀想にも思える。