村上
父性というのはつねに大事なテーマでした。現実的な父親というより、一種のシステム、組織みたいなものに対する抗力を確立することは、大事な意味を持つことだった。エルサレム賞を受賞したときの「壁と卵」のスピーチにしても、システムの問題として語っているけれど、同時に父性原理みたいなものについて語っていたつもりです。自分を束縛しようとする力、それも論理的に束縛しようと力という意味で。母性というのは、もう少し情念的な束縛だけど、父性というのは制度的な束縛であるわけです。それを振り払って自分が個であり自由であることを求めるのは、僕にとっての普遍のテーマです。