『青豆は老婦人に質問した「いったい何が起こったのです?」
老婦人はどちらかというと淡々とした口調で言った。「レイプの痕跡が認められます。それも何度も繰り返されています。外陰部と膣にひどい裂傷があり、子宮内部にも傷があります。まだ成熟しきっていない小さな子宮に、成人男子の硬くなった性器が挿入されたからです。そのために卵子の着床部が大きく破壊されています。これから成長しても、妊娠することは不可能だろうと医師は判断しています」
…「もし万が一、何らかの処置によって子宮の機能が回復したとしても、この子がこの先、誰かと性行為をおこないたいと望むことはおそらくないでしょう。これだけの激しい損傷を受けるからには、挿入は相当な痛みを伴ったはずですし、それが何度も繰り返されたのです。その痛みの記憶が簡単に消えることはありません。私の言うことはわかりますね」
青豆は肯いた。…
「つまりこの子の中に準備されている卵子には、行き場所がなくなってしまったわけです。それらは」老婦人はつばさのほうにちらりと目をやって、それから続けた。「すでに不毛なものになってしまったのです」
…「この子の両親はどこにいるのですか?」
…「両親のいるところはわかっています。しかしそのような酷い行為を容認したのが、彼女の両親なのです。つまりこの子は両親のもとから逃げ出してきたわけです」
「つまり自分の娘が誰かにレイプされることを両親が認めた。そうおっしゃりたいのですか?」
「認めただけではありません。奨励したのです」
…「その男は強い影響力を持っています」と老婦人は言った。「とても強い直接的な影響力です。この子の両親はその影響下にありました。そして今でもその影響下にあります。彼らはその男に命ぜられるままに動く人々です。人格や判断能力を持ち合わせていない人々です。彼らにとってその男の言うことは絶対的に正しいのです。だから娘を彼に差し出すことが必要だと言われたら、逆らうことはできません。相手の言い分を鵜呑みにして、嬉々として娘を差し出します。そこで何が行われるかがわかっていてもです」
…「それは、何か特殊な団体なのですか?」
「そうです。狭い病んだ精神を共有する特殊な団体です」
「カルトのようなもの?」と青豆は尋ねた。
老婦人は肯いた「そうです。それも極めて悪質で危険なカルトです」