親友だったはずの僕も彼を遠ざけた あのときの彼の心境を思うと心が痛む S君も誰とも話そうとしない S君と関わるなという雰囲気が漂った S君の母親は問い詰めた『やったのか?』S君は泣きながら否定したそうだ『母親に疑われることが悲しい』と しかし何回目かの詰問にとうとう彼は告白した 悔い改めがあったので排斥にはならなかったようだ その後も集会には来ていたが 始まる直前に来て後ろの方に座り 終わると逃げるように帰る 誰とも話さない みんなの模範だったS君家族はもう犯罪者の家族として白い目で見られる… そんなうちに僕の家も引っ越しが決まり S君ともそれっきり サヨナラも言わなかった

最近 S君のことが気になる 『いま会いたい人は?』と問われれば『S君』と答えるかも
人間ってふれ幅の生き物だと僕は思ってる いわばヤジロべーだ 優しいだけのひと 強いだけのひと おもろいだけのひと 『…だけ』のひとっていないと思う おもろいお笑いの芸人さんが家に帰ると一言も喋らないみたいな…すごい優しいひとは反面すごい残酷な一面があったりして プラスがあれば必ずマイナスがあるそのふたつがバランスとれてるから人は生きていける
S君もそうだったんだろ?みんなから期待されて期待に応えて もう息苦しくて堪らなかったんだろ?確かに盗みは褒められることじゃないけど…それくらいみんな経験あるよな子供のときには… あのとき母親はこう言った『あなた達とS君では罪の重さが違うの S君は献身した証人なの 証人としての罪は重いの』 だから破綻したかったんだろ?優等生だけの模範的だけの人間なんていないもの タブーを犯さないと人としてのバランス取れないもんな 今ようやく気持ちが判るよ その頃のS君にしてみれば全ては衝動的だったと思うけど…。あれってそういうことだよな?
あのときの大人たちどう思ってたんだろ?君を追い込んだ責任が自分にも少しはあると反省した人間っていたのかな?そんなことも解らずよく大人っていってるよな 小6で断罪されて 君はその後どんな人生だったんだろ?今 どうしてる?僕が引っ越して数年後、君も引っ越したって聞きました 今じゃお互いいい大人だね 僕は今こんな気持ちで君を思い出してます いつかまた逢えたらなと本気で思ってます。