そこは瀬戸内海の静かな港町。
港町ブルースがあまり似合わない、っていうか全然似合わないと思う。そもそも港町ブルースなんて聞いたこともないし、知らないし、まぁ、そんな場所である。
漁船の船首近くにぶら下がった碇シンジも錆びていて年季がはいっているではないか。
いい感じのそこそこ寂れた感じがまた旅愁を誘う。
阿藤快もぶらりしたくなるロケーション

しかし!事件は突然起こったのである。
サスペンスドラマならここで火サスのテーマが流れているであろう。

町の防災無線が慌ただしく流れた。

「イカ襲来!イカ襲来!漁業組合規程により殲滅せよ!」

不穏な空気の中で男は、イカ焼き売り場にいた。
何故かももいろクローバーZのバックプリントの青い法被を羽織っている。
売り場には、大島優子というより大島蓉子そっくりの女子がいた。キャプテンアメリカのTシャツを着用している。
実年齢は71才だが、彼氏募集中の自称17才だそうだ。

イカ襲来の防災無線がイカれたように鳴り響く中で緊迫した状況となった。


「あの~すみません。そのイカください。」

「ん?げっ!でけーイカ!何だねあんた?!」

「いやぁ、あの~イカ焼き買ってこいとおつかい頼まれまして」

「あっ!さっき防災無線で流れていたイカだな?あんた?」

「いかにも私がイカ男である!決していかがわしいからイカ男と言うわけではない!」

「王さまかよっ!」

「ちがう!イカ様だ!あ!すみません。つい声をあげてしまって」

「いいから帰ってけれ!イカにイカ焼き売るほど落ちぶれてね!」

「誤解かもしれません。私はイカ焼きがほしいだけですから」

「今言ったな?あんた!結局、私の体がほしいだけだべ!イカ焼きは、口実か!」

「いやあ誤解です!中2の姪に「どうせ一日中暇してんだからイカ焼き買ってこいや!!」ときつく言われまして」

「イカのくせに。何言っているだか」

「あの~すみません。ジャイアンみたいにイカのくせにというのは、いかがなものでしょうか?」

「あ~イカくせ~!イカは本当にイカくせ~!」

「まあ、イカですから、しょうがないかと」

「あんたを焼いてイカ喰わせろや!」

「いかんせんイカですから、自分でも大味だけどイカ焼きっぽい味かな~っと。あ!お願いします。イカ焼きを買って行かないと姪にまたギャラクシアンエクスプローショーンをされてしまうんです!」

「セイントセイヤか!イーカ!イーカ!イーカ!今、イカを喰わせろと国会の前で暴動を起こしてまっす~ぅ!」

「いかん!いかん!またイカ妄想が房総半島で暴走してしまうではないか!」

「イカのくせにイカ焼き買いに来てんじゃないよ!イカ祭にしてやろうか!あ~でけーイカ食いて~な~」

「君は、小宇宙烏賊(コスモイカ)を感じたことがあるか!!!」


防災無線が再び流れた。

「イカ襲来!イカ襲来!漁業組合規程により殲滅せよ!」



実に妙な夢だった。正夢にならなければいいが。

初夢がこんなんだったら一年間どうしたらよいかとも思った。かなり立ち直れない。


因みに前の日は、イカは食べていない。

あっ!イカっぽい顔したおじさんは見た。



おしまい