用事があり会社の車で移動することになった。うちの会社の後輩と何故か出かけることになったのだ。その後輩は前から軍人っぽいなと思っていた。
車中、部署が違う後輩なので話題もなく、なんとなく気まずい雰囲気になり、耐えきれなくなり、軍人っぽい後輩にとりあえず話しかけた。
「えーと、映画とか観る?」
「私でありますか?」
「そう。今俺とお前しかいないから、多分、お前に聞いているはず」
「そうでありますか!映画は観ます。しかし、この頃はあまり観ません。」
「観るんだ。どんなの観るの?」
「ライフ・イズ・ビューティフルは観ました。」
「あれね!子供のために大きな嘘つくお父さん、最後にやるせなくなるストーリーだったよね」
「そのような話でありましたか?」
「あれ?違ったかな?うんと他には?」
「シンドラーのリストとか」
「あれね!囚われの身になった人を何とか救ってあげようとしたストーリーだったよね?あの音楽アカデミ
ー賞受賞したね」
「そのような話でありましたか?」
「あれ?違ったかな?うんと他には?教えてよ」
「硫黄島からの手紙。ブラックホークダウン。プライベートライアン。フルメタルジャケット。プラトーン。戦争のはらわた。ジョニーは戦場へ行った。などです。」
「、、、、、、、、あのさ」
「軍曹!何でありますか!」
「ん?今、俺に軍曹って言った?」
「いや。申しておりません!」
「ま、いいや。ところで何か気づいたんだけど、言ってもいい?」
「我々の部隊のことでありますか?」
「我々?ま、いいや。さっきから良かった映画って全部、戦争ものじゃね?」
「我々は、戦争映画しか観ません!」
「我々?んじゃ、テルマエ・ロマエとか観ないの?」
「何でありますか?それは米国の最新兵器でありますか?」
「違うよ!じゃあ一番良かった映画は何?」
「それは間違いなく、地獄の黙示録であります!」
「、、、、、、、、、ありがとう。勉強になったよ」
「光栄であります!」
その後、現場に着くまで一言も話さなかった。
おしまい