「オレ、育児に疲れた・・・。会社の方が落ち着くよ」と上司が小言でボクに放った爆弾。
今日の夕刻、いつものように残業まっしぐらの実験室で製品のテストをしていると、
「おつかれちゃ~~~ん。」
と、お子様の体調不良で休みを取っていた上司がフラフラになりながらノートPC片手に出社した。
”何故?どうして?”と思ったけど、お子様の看病を奥様にバトンタッチしてきたらしい。そしてその上司は実験室の片隅で、黙々とプログラムを組んだり、報告書をまとめ始めた。誰も近づけない(近寄らせない?)オーラを放ちながら。
そしてボクの作業も一区切りしたので帰宅しようとすると上司はボクに、、、
「今日一日、娘の看病をしていて疲れたよ。マジ、子供を見るのって大変だ。あっちこっちにゲロポンするし、大人しくしないし、掃除も大変だよ。子供を虐待する感触が少し分かった気がするよ。本当に・・・。」
いつもニコニコしている上司が、苦痛に顔をしかめていた。
「こんなこと思っていても、言ってはいけないのだろうけど、会社の方が落ち着くよ。生産性があるというか、達成感があるというか、充実している。」
完全にヤバイとボクは思った。「イッちゃってる、この人!」と思った矢先に、、、
「でも、子育てしている主婦はすげーよ。これが毎日続くとなると、オレは放棄したくなる。なんだろ、世間から置いていかれる孤独感っていうのかな?気持ちがめげる。彼女らはすげーよ。マジで。少しうちのカミさんを見直そうと思う。家に帰って奥さんを”癒したい”そんな気持ちになってきた。っと、その前に娘の看病か!」
という感じの反省会と家庭愛を語りながら、途中までの帰路を語っていました。別れ際に上司は「聞いてくれてありがとう。子供を授かったら遠慮なく、相談してくれ。じゃ、お疲れちゃ~~~ん!」と言って元気よく踏み切りを渡っていった。
エリートな上司も普通の父親で夫でした。
ボクみたいに、子供好きだけでは父親は勤まらない。ボクも子供を通してこんな何かを感じれる上司みたいな父親になりたいと思った。