子供の頃の 我が家の玄関は狭かった

 

狭いと言ってもドアの扉1枚で

 

今の 引戸の玄関扉に比べればの話

 

真鍮の 丸いノブが付いていて 鍵穴も真鍮だった

 

鍵も 真鍮の鍵で 家には3つあった

 

1つは父が持ち もう1つは母が持つ

 

最後の1つは予備だったが 私が持つ事もあった

 

父は会社員 母は教員 典型的な共働きの家

 

子供だった私の為に お手伝いさんがいた

 

父の田舎の秋田から 親戚のお姉さんが来ていたのだ

 

お手伝いさんで来ていた訳では無く 

 

花嫁修業に 東京へ出て来ていたと 後から知った

 

お姉さんは 数年して 田舎に帰り結婚した

 

それからは 私は鍵っ子になった

 

鍵にヒモを通して 首から下げていたが 良く無くした

 

首から鍵を下げているのは 私だけだった

 

寂しさや 恥ずかしさは無かったが 

 

子供たちが母親に呼ばれて帰ると 外にいるのは私だけ

 

「いいなぁ~ 鍵持っていて」と友達に言われる

 

だから 首から鍵を下げているのが 誇らしかった

 

当時「鍵っ子」という言葉が流行っていた

 

流行る前から鍵っ子だったから 何か嬉しかった