Dial M    Akira Terao

 

はやく 春が来ないかな

春が来れば あの人に逢える

そよ風に乗って きっと 現れる

 

でも 昔のあなたとは きっと違う

もしかすると 気が付いても くれないかも知れない

 

あの日出会って 言葉を交わしたのは 遠い昔

また逢いましょう

その言葉で また 逢う事が出来た

素敵な スカーフが似合っていた

 

秋が近づき 枯れ葉が舞う頃

あの人は 居なくなった

北九州の 故郷に帰ると言った

 

春になったら 帰って来ると 言っていたが

それから 何年も 逢えないでいる

春が来ると あの人を待つ

きっと また 帰って来ると思って

 

北九州に行ったのは もう昔のはなし

何処かで 出会えるかもしれないと 街を歩いた

北九州と言っても どこの街かは 判らない

 

漠然と 北九州の 女の子としか覚えていない

綺麗な 素敵な女の子は 

東京で モデルをしていた

名前も いつの間にか 忘れてしまった

元々 女性の名前を 覚えられない私

 

春になったら 素敵なおばあちゃんで良いから

現れてくれないかな

北九州の おばあちゃん