Habana Express   Akira Terao

 

煙草をくわえて 窓を上げたら
ようやく自分に戻った気がするぜ 

あんなに たやすく
別れをぶつける気ままなおまえに

勝てはしない
出会いは南の嵐のようで
根こそぎ昨日をさらった恋さ
このままおまえと 生きてもいいとは

俺らしくもない 夢を見てた
Habana の風に酔い
ただ おまえと眠っただけさ
終わりのない恋なんて

多分恋じゃないぜ
 

黄色い畑のうねりを見ていると
おまえの熱い身体を思い出す
陽よけを下ろして 抱き合う部屋では

まるで時間さえ止まっていたぜ

明日の行方を占うカード
わかっていたのさ 駄目になるって
ひとつところに落ちつける筈もないのさ

そいつが 俺の運命
Habana の 風はまだ
無邪気におまえを連れてくる
傷つかない恋ならば

しないほうがいいぜ
 

ブルーな気分におかまいなしに
レールの響きは 希望を刻む
陽気なおまえの 恋物語に

ふたりで笑った夜も あったぜ
雑誌のすみに書いたアドレス
考えあぐねて 風にちぎった
どうやら こころを 立てなおす頃に

黄昏近づき 次の Station
Habana の風はいま
ひとつの色に染まりだす
燃やしすぎた恋だから

きっと忘れないぜ