黄昏のビギン ちあきなおみ

 

一日が終わる

夕刻に 空を見つめる事が出来たのは 子供の頃

子供たちを呼ぶ声が あちらこちらから 聞こえて来る

ゆうげの かおりも 漂って来る

 

紅く染まった 西の空を見つめる

周りには 誰も居なくなった

しょんぼり歩く 砂利道は ぐしゃぐしゃと鳴った

 

首から下げた 家の鍵

真鍮で出来た ドアの鍵

家に帰ると 明かりが漏れている

母が帰って来ている コトコトと 包丁の音

 

お帰り 母の声がした

普段は かぎっ子で 自分で鍵を開ける

ドアが開いていたのが 嬉しい

 

そんな昔 陽が落ちるのが 怖かった昔