あみものを する姿など 最近見る事がない
今はもう 自分で編み物をする人など いないのかと思っている
しかしこれは とんでもない間違いである事に 専門店で気が付く
専門店には 沢山の毛糸が置かれ
沢山の それらに必要なものが 売られている
モヘヤ ウール 綿 麻 それらが混ざった 混紡
男でも 何となく そんな素材は知っている
モヘヤが好き
モコモコの モヘヤのセーターを着た 女性に憧れた
なんだか 女性自身が柔らかそうで フワフワしている
なにか そうしたモヘヤを着た
女優さんさんの写真をみると モフモフしたくなる
子供の頃 こたつに入って 編み物をする母がいた
器用に 二本の編み棒を使って編む姿が 不思議だった
なんで あんなに器用に 動かせるんだろうかと
毛糸は 輪になっているから その輪に両腕を入れて
使いやすいように 丸い球にするのを 手伝ったものだ
古いセーターも ほどいて 違うものに編み直したものだ
ほどく時も 手伝ったような気がする
少し 縮んでしまった毛糸だが
何故か スルスルとほどけていくのが 気持ちの良いものだった
中学生になり スキー教室で 長野の志賀高原に行く
厚手の毛糸の靴下が欲しかった
買って欲しいと言うと 自分で編みなさいと 言われた
要らなくなった毛糸で 母に編み方を教わりながら 編んだ
不格好で 左右が均等でない靴下が 出来上がった
それを履いて スキー教室に行った
その後も 愛着を持って その毛糸の靴下を 履いたものだった
付き合っていた彼女が 毛糸の帽子を 何枚も編んでくれた
お気に入りは いつでも かぶっていた
映画のロケに行った時 途中で雪が降り始めた
それほど 気に入っていた帽子ではなく
その時 女優の 中野良子ちゃんに 上げてしまった
「彼女から貰ったんでしょ?いいの?」
それでも 彼女には内緒で 上げてしまった
良子ちゃん とても良く似合っていた 50年前の話だ