子供の頃は 一人でいる事が 多かった
今では当たり前の 父と母は 共稼ぎ
その頃 かぎっ子 という言葉が流行った
真鍮で出来た いわゆる イラストなどで描かれるような鍵
それに 紐を通して 首から下げた 小学生だった
なんどか それでも 鍵を落とした
今の様に すぐにスペアーキーが 作れないから
夜遅い 父の鍵を持ったり 母の鍵を持ったりもした
幼稚園の頃は お手伝いさんがいた
秋田から来た 父の親戚のお姉さんで 花嫁修業に一環だったらしい
その後も 違うお姉さんが 家に来た
大嫌いだった
理由は すべて私が悪い 何故か 意地悪ばかりした
本当は 大嫌いではなく 母がいない事への 面当てだったのだろう
そのお姉さんは 中学に私が入る頃 結婚した
私も 結婚式には呼ばれたが
意地悪ばかりしていたから 断固として 結婚式には行かなかった
今になって思う 申し訳なかったと
他人が 家に居ると言うのは お互い気不味いものだ
それは 私以上に お姉さんは、そう思っていただろう
信じられないだろうが 人と付き合うのが 不得手だった
どうやって 話をしたら良いのかも 判らなかった
そんな少年期 今ではそんな事があったなど
ウソのように 誰にでも話し掛ける
お喋りな 爺さんになってしまった