朝刊を 広げたら 映画の欄に

新しい ミュージカルの 広告があった

あなたと 見たいと 思ったけれど

あなたは居ない あなたは居ない

地下鉄に 乗ったら つり革の上に

夏物の 婦人服の デパートポスター

あなたに 似合うと 思ったけれど

あなたは居ない 居ないんだっけ

アパートに 帰ったら 7時のテレビ

今日も又 自動車事故 どこかであった

ねえ! 見てごらんと 怒鳴ったけれど

あなたは居ない そう 居ないんだっけ

 

1969年

作詞:山上路夫 作曲:村井邦彦 歌:ほりまさゆき

 

結婚前に 半年間 同棲をした

彼女の住んでいた アパートに 転がり込んだ私

 

近くの 風呂屋へ 風呂桶を持って 通った

風呂屋の前で お互い 出て来るのを待った

神田川の 歌の文句のような 生活だった

 

ある日 突然 彼女の兄が 訪ねて来た

思わず私は 押し入れに隠れた

そんな事が あったけれど その後結婚した

 

朝昼夜の曲は 大好きだった

ヒットはしなかったが 珍しく 歌詞はすぐ覚えた

数年して このレコードを 手に入れた

眼に浮かぶような 歌詞が 自分の事の様に 思えた

 

付き合っていた 彼女の写真が 30年ぶりに出て来た

彼女は 私より先に 結婚をした

50年も前の 彼女の笑顔が 可愛いい

もう すれ違っても お互いの事は 判らないだろう

 

ただ この歌詞のような 思いは

彼女への思いと ダブってしまう