記事にするべきか悩みに悩んだが、タイムリーな話題なので思い切って投稿します。
なお、あらかじめお断りさせていただきたいことがあります。
以下の父の意見に反対の方や怒りを覚える方も中にはいらっしゃると思います。
しかし、実際に障害児を持つひとりの親がどう考えているか、実例の1つとしてあえて掲載します。
ここで出生前診断の是非を議論するつもりはありませんので、その旨をご了承いただきたいと思います。
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私事で大変恐縮なのだが、少し前に妊娠が発覚した。
私の年齢は33歳。高齢出産のギリギリ一歩手前。決して若くはない。
出産年齢のリスクと転座型ダウン症の保因者の可能性も考え、羊水検査をするべきか迷っていた。
父に妊娠を伝えたところ、羊水検査の実施と異常時の堕胎を強く勧められた。
初めて妊娠をした娘にこんなことを言うのは、きっととても辛かっただろうと思う。
私の父母はダウン症妹の出産直後に遺伝子検査を受けており、転座型保因者ではないようだ。
さらに、お腹の中の子どもは父にとっては初孫である。
妊娠自体はおそらく嬉しい報告だったと思うのだ。
それでも『検査費用の心配はしなくていいから、絶対に検査して欲しい』と即座にハッキリ言われた。
つまり、娘夫婦に自分たちと同じ苦労をさせたくないということだろう。
父に報告した時点では万が一のときは育てるという選択肢も考慮し、検査を受けるべきか悩んでいた私は内心ショックだったが、父の言葉の重みも理解できた。
結局、両親がさんざん守ってくれていたから、きょうだい児の私は大した苦労はしていなかったのだ。
ダウン症妹が地元小学校の普通学級に入学することが決まったとき。
入学前に母がさんざん小学校に相談したようだ。
クラス担任から、障害の簡単な説明と、入学してくる妹に自然に接して欲しいとHRで話があった。
入学後も、『あれ、お前の妹?』とビックリされることはあっても、妹が原因でいじめに遭ったことはない。
大学卒業後は実家を出て、自由に生きることを許してくれた。
だから、ダウン症妹が急激退行を起こしたときの我が家の惨状を間接的にしか知らない。
精神科の薬物治療について職業柄知識があったのでアドバイスしたり、時間が許す限り実家に赴いた。
年に数回ある施設の行事は可能な限り顔を出し、参加している。
でも、実際に大人になって協力したのはそれだけ。
父が貯蓄してくれたおかげで、ダウン症妹にかかる将来のお金の心配はほぼない。
父亡き後は後見人として、施設がらみのことや各種手続きは私たちきょうだいが行うことになるとは思う。
でも、今後想定される負担はそれだけ。
両親が必死で環境を整えてくれたから、ダウン症妹を恨むこともなく、愛情をもって接してこれたのだろう。
それに改めて気付かされて、ありがたい気持ちで涙が出そうになった。
もちろん遺伝子異常を回避したところで、障害児が生まれる可能性がある。
自閉症や発達障害のように生まれたあとにわかる病気だってある。
ダウン症よりもうんと手のかかる障害もたくさんある。
さらに健常であっても将来犯罪を犯すなどの可能性だってある。
それらは私なりに理解しているつもりだ。
どんな子どもでも育てるのは大変だし、親になる以上は責任を負わなければならない。
それでも、事前に回避できることは全力で回避することを当事者である父から強く勧められたのだ。