今回の一連の出生前診断のニュースについて日本産婦人科学会も記者会見を開いたそうだ。


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日本産科婦人科学会(日産婦、小西郁生理事長)は1日、東京都内で記者会見を開き、妊婦の血液で胎児がダウン症かどうかほぼ確実にわかる新型の出生前診断について、遺伝の専門家による検査前後のカウンセリングが必須であるとし、複数の医療機関が今月にも始める臨床研究の結果を「注視していきたい」とする声明を発表した。


一方、これらの検査が広範囲に実施された場合は、人工妊娠中絶の増加など社会に大きな混乱を招く懸念があるとして、「マススクリーニング(広くふるい分けのために行う検査)としての安易な実施は厳に慎むべきだ」とした。


日産婦は記者会見で、小児科や遺伝など関連学会と議論し、検査の指針を作る方針も明らかにした。


2012年9月1日22時17分 読売新聞)

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ああ、なるほどなぁ。

日本ダウン症協会もマススクリーニングは反対ということであれば納得もいく。

協会の本意は個人の出生前診断までも否定しているのか、マススクリーニングの否定なのか?

私が読んだ記事ではよくわからなかったから、世間に波紋を呼んでしまったのかもしれないと感じる。

日本語は難しい。私もてっきり出生前診断は全否定なのだと思い込んでいた。



今回の一連の出生前診断にまつわるニュースでいちばんショックを受けたのは、現在妊娠中かつ羊水検査の存在を知らなかった妊婦だと思っている。

特に羊水検査を受けられる時期を過ぎている妊婦はいたずらに不安を煽られていると想像する。

ニュースを見て『もし自分の子どもがダウン症だったら…』と心配し始めたという声も実際に聞いた。

子どもを作る時点であらゆる可能性を想定しておくものだと思うけれど、中には深く考えていなかった人や『自分たちはきっと大丈夫だろう』と根拠のない自信があった人もいたのかも知れない。


このニュースをきっかけに出生前診断や羊水検査のことをはじめて知った人もたくさんいると思う。

産院で積極的に羊水検査の説明をしないところも多い。(私のかかった産院もそうだった)

希望する人はあらかじめ検査の存在を知っていて、自分から医師に相談しているのだ。



個人的な意見だが、妊婦が安心して納得して子を産めるように、出生前診断のことは広く知られる必要があると思う。

みんなが知った上で、検査を受けることや結果を受けてどうするかを自由に決められるのが理想的だと思っている。

ただ、どちらを選んでも本人の責任であり、第三者は口出ししないというスタンスを取ればいい。



結果、検査を受けて陽性だとわかって堕胎する人も当然いると思うが、案外堕胎は増えないのではないかと想像する。

年齢的に私たちに持てる最後の子どもだからとか、カトリックなどの宗教的な信条からとか、様々な理由で産むと決断をする人も多くいるからだ。


今では育児ブログなどでダウン症育児で奮闘する先輩方の経験談もお手軽に情報が取れる。

そういったものも、迷った人が産む決断をする後押しになると思う。


ただ、一点だけ気になるのが成人後のダウン症の情報が極端に少ないということだ。

子どものころの苦労と大人になってからの苦労は全く別物だ。

若年性認知症、急激退行などの青年期以降の病態についてあまり知られていない気がする。

出生前診断を受ける選択をした妊婦が、より納得のいく判断をするための材料としてダウン症の青年期の情報がもっと広く情報開示されるとよいなぁと感じている。



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