「模倣の罠 自由主義の没落 著イワン・クラステフ、スティーブン・ホームズ」を読む

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The Light Failed:A Reckoning

西欧先進諸国を鏡とする「模倣の時代」の行き詰まりが、

プーチン、オルバーン、習近平、トランプなど

強権的な指導者の登場を招いた。

民主的で自由主義的な未来が取り戻せるか

世界19か国で翻訳出版 国際政治の必読書

冷戦終焉から30年‥

非自由・反民主の濁流に吞み込まれゆく世界

昨日まで人々は、未来はより良いものだと思っていた。

1989年という年は「ベルリンの壁が東と西に分けるのとほぼ同じくらい明確に過去と未来を」分けた年だと私たちは信じていた。

「開かれた社会」の理想そのものも、かつて称賛された魅力を失った。

幻滅した多くの市民にとって、世界が解放されることは、今では希望よりも不安を生む根拠になっている。

もしリベラルが冷戦後の時代の性質を誤って解釈していたとしたら?

これが本書で私たちが答えようとする問いである。

強いられた民主化の逆襲

 

爪を立てる。

著者の言う東洋としての模倣(戦略的に捉える3種の模倣)

⓵手段の模倣

②目的の模倣

③外観の模倣

としてとらえる。

発展の方式として技術のキャッチアップを行いながらナショナル・アイデンティティを維持してゆく国が生まれ育っている。

そうした国が多数派になっている現状があるとすると、イノベーションを継続して起こし続けてゆく。

つまり、現在という時代は、最先端を走ってきた国はいつか追い越されるのか?

それとも、常に先頭にいられるのか?

二番目ではいけないんですかという声を無視し続けるにはどうしたらいいか

その答えを求められているのが、今という時代に課せられた問いなのだろう。

 

権威主義で効率的にキャッチアップはできるが、つまり先端に近い2番にはなれるが決して1番にはなれない。

そう答えられるかどうかを問われているように感じる。

そのためには新しい民主主義という仕組みが必要だし、イノベーションはそれを支える可能性がありそうだ。

 

こうであればいいと思う。

先頭を走ることこそが自由でいること当たり前に思え、努力をいとわない社会、

歴史を振り返るだけでなく問題の提起として訳者は解説の最後にこう言う。

(引用)

社会に問題を提起し、広く議論を呼びかけることを目的とした書籍として高く評価されるべきだろう。

冷戦の終わりが自由主義の採取的な勝利として解釈されたことが、逆説的に自由主義の衰退を生み出したのではないかという本書の問いに答えるには、各国の実証研究とより広い社に立った比較分析、自由主義の理論の研究を蒸すBヴィつけることで、冷戦という現象とその終わりをより深く、多角的に分析する必要がある。

それとともに、社会科学や人文学、マスメディア、小説や映画などの芸術作品が、冷戦の終わりをどのように評価してきたかを改めて振り返る作業が求められている。

その通りだと思う。

そして一つの質問が生まれる。

その作業に対するインセンティブはどこから生まれるのか?

小説や映画やマスメディアにはそれなりの創造力から生まれるインセンティブがある。

イノベーションには確率は低くても成功報酬があったり、創造力の実現という満足感で補える部分がある。

社会科学や人文科学の研究者にひも付きでない(教職の給料とか安定した地位とか)インセンティブはあるのか?

産業を支える科学を中心としたほかの分野よりも遅れることが、ミスマッチを起こしているのか?

 

どんな分野にも既得権がある。

民主主義国の議員であれば選挙に勝つことと同じくらいの重要さで、民主主義の深化を後押ししなければ単に既得権の行使に終わってしまう。

ヒトに対抗者がなければ、進歩しようというインセンティブは生まれず、組織に対抗組織がなければ組織は進化せず停滞し、既得権化する。

皆それとなく解っていることもきちんと検証してもらうことが必要だから、研究者に競ってもらいながら成果を期待する。

兵隊は名誉が最大のインセンティブとするようにも聞くが研究者もそれに近いのだろう。

だから本は買う。小さな評価だが無いよりましだろうと思いながら。

 

最近は研究者が大学など所属する組織の拘束を嫌って起業し。豊かになってより自由な環境で研究するという考えが広まっているらしい。

こうなるとスーパー研究者やある種の専門家の興味というのは

本当に個人的なものになってしまうのかもしれない。

 

束縛を離れた先の段階に進む種を生み出すと期待する。

 

 

<大海を群れずに回遊する>

信頼とは何かを考えながら、書籍を媒介にして、生涯学習が行動の糧とするような前向きな発言を心掛けています

 

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