「純粋機械化経済 著井上智洋」を読む

表紙に書かれている情報

頭脳資本主義と日本の没落

The Pure Mechanized Economy

 

帯の広告

AI(人工知能がもたらす人類の変化に、世界は震撼する。

産業革命を超える大転換を 俊英が解明する壮大な文明論。

本書の構成

第1章 AI時代に日本は逆転できるか

第2章 人工知能はどこまで人間に近づけるか

第3章 人工知能は人々の仕事を奪うか

第4章 技術的失業と格差の経済理論

第5章 新石器時代の大分岐…人類史上最大の愚行はこうして始まった

第6章 工業化時代の大分岐…なぜ知Ⅹ中国ではなくイギリスで産業革命が起きたのか

第7章 AI時代の大分岐…爆発的な経済成長

第8章 AI時代の国家の役割…中枢を担うのは誰か、プラットフォーム企業か

表紙裏

AI(人工知能)とはいかなる技術で、どこまで人間の知的振る舞いをまねることができるのか、

どのように人間の労働と社会構造を変化させるのか、

爆発的な経済成長の始まりとは何か、

人々が豊かになるには国家が何をなすべきなのか

日本はどのような運命をたどるのか・・・

初めて知性を獲得した「機械」が持つ巨大な力の正体を明らかにし、その哲学的意味や、社会的影響について多角的に解明する骨太の文明・経済論。

 

学者についての著者の考え2点

著者の<人間の認識の対象>分類と職を失う順

物理的領域(物理現象の起こる領域)

内的領域(人間の内面の領域)

社会的領域(人間同士のかかわりの領域)

(中略)大雑把に言えば部地理学者や科学者のような自然科学者は物理的領域を、哲学者や心理学者、文学者のような人文科学者は内的領域を、政治学者や経済学者、法学者のような社会領域をそれぞれ研究の対象にしている。

いかなる党派にも与せず、貧欲に知識を吸収し続けるということこそが、あるべき学者の姿勢ではないだろうか。

 

著者の一つの結論

おわりにからの引用

人類にとって解き明かされるべきなぞとして今も残されているのは宇宙と生命、人間自身の心の根源だ。

これらの謎は深い神秘の謎の淵に沈んだままで、いまだに私たちの手の届かないところにある。

宇宙の起源に迫るような化学は存在するが、そういう技術は今のところ存在しない。

生命の謎を解き明かす技術としてはバイオテクノロジーがあり、、人間の心の謎にはAIがある。

そういう意味ではバイオテクノロジーと並んでAIは究極の技術なのである。

しかも、AIはバイオテクノロジーよりもはるかに多くの分野で利用することができるので、社会や経済を劇的に変えてしまう。

 

著者が刺激を受けたと思われる本の一冊

<サピエンス全史>

<ホモデウス>

キーワード‥‥アベレージ・イズ・オーバー(平均は終わった)

 

 

爪を立てる

表紙にThe Pure Mechanized Economyとあるので、海外読者をも意識しているのかと想像する。

海外読者も視野に入れた研究者の著作が増えることを期待する。

 

この本のオロジナリティはどこになるのか?

もし英語版が発売されているのなら英語で読む読者に判定が著者の未来を約束することになるだろう。

挑戦していること自体にまず敬意を表したい。

これだけのボリュームの本を書くこと自体が著者の熱量の多さを感じ、頼もしく思う。

それは著者の持つアイデアだけでなくその背景となる知識量が読者に測られる。

著者のアイデアの評価は、すぐにはできず数年とか10年とかの<時のふるい>にかけられて決まるものだろう。

10年後にはこの話は広まっているか?

(引用)

人類の歴史には三つのリンゴに象徴される劇的な変革があった。

①アダムのリンゴ

②ニュートンのリンゴ

③ジョブスのリンゴ

 

経済学をいかに活用するかとはジュン・チャンはECONOMICS The user’s guideで書いた。

著者も従来の経済学の領域を超えて未来社会を考える。

例えば

著者の考える国家とは

(引用)

再分配を強制的におこなえる機構は国家しかありえず、国家を否定するアナーキズムでは平等は達成されないからだ

(引用)

BI(ベーシックインカム)がAI時代に不可欠な制度であることは第7章で論じたとおりだ。

経済学的に言うと、中枢としての国家がなすべきことは再分配のほかにはほぼ合成の誤謬の解消だけである。

 

ジュン・チャンはECONOMICS The user’s guideから引用

経済学は政治的議論である。

科学ではないし、また決してそうはなれない。

政治的判断やそれ以上に道徳的判断から独立して成立する客観的な真実などは存在しない。

だから、経済学の議論に臨む際は、古の政治家/雄弁家キケロが残した問い…<誰が得をするのか>を考えなければならない。

 

早いキャッチ・アップはそれなりに有用だ。

恐れは、こんな本を読んできたというカタツムリが残した足跡でしかないといわれてしまうことだ。

 

狩猟採集社会に回帰するのを想定しスキゾ型人間を目指し、宇宙と生命と心の根源に挑戦する企業に投資する。

どう具現化するかというステップに入りそうだ。

 

著者には是非オ学者内や国内という枠を超えたープンな議論する学者になってほしい。

そんな期待を持たせる本でした。

 

<大洋を群れずに回遊する>

信頼とは何かを考えながら、書籍を媒介にして、生涯学習が行動の糧とするような前向きな発言を心掛けています

 

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