「EBPMの経済学 エビデンスを重視した政策立案 編大橋弘」を読む
帯広告がないので各章の紹介
総説 EBPMを政策形成の現場で役立たせるために 金本良嗣
総説コメント 政府におけるEBPMはどのような一歩を踏み出しているか 越尾淳
第1章 教育政策におけるEBPM 田中隆一
第1章コメント 教育EBPMにおける「データ取集」の重要性と課題 樫原哲哉
第2章 労働政策におけるEBM 神林龍
第2章コメント 労働政策におけるEBPMの可能性 中井雅之
第3章 医療・介護政策におけるEBPM岩本康志
第3章 コメントEBMから学ぶEBPMに必要なステップとEBPMならではの注意点 松本晴樹
第4章 交通・社会資本政策におけるEBPM 城所幸弘
第4章コメント 社会資本整備分野のEBPMにおける予測モデルの役割と不確実性の直視 三善由幸
第5章 課税政策におけるEBPM 林正義
第5章コメント 税制改正におけるEBPM 大関由美子
第6章 電力政策におけるEBPM 大橋弘
第6章コメント 電力政策における福栖の価値軸とEBPM 鍋島学
終章 制作立案の力を研鑽できる場の構築を目指して 大橋弘
本書の特徴
(引用)
l 経済学を専門とする研究者と現役の政策立案者が、各政策分野においてペアとなって執筆している
l 各論考の品質を確保するために、本書に執筆者に加わっていない現役のEPBM担当の政策立案者2名に、匿名のかたちで「査読」をしてもらった点である。
結果として
制作立案過程の現場でも、専門性を高めながらタコツボ化の弊害を抑えるような試みがなされるべきだろう。
と示されている。
EBM(Evidence-based Medicine:根拠に基づく医学)の発展形というか一般応用の話。
制作に確たる成功(100%成功とか50%成功)評価ができるかどうかは別として、効率化出来たり、成果を気にすることで無駄な要素が省かれたりすることは間違いない。
爪を立てる
専門家が少ないとは本書の中でも取り上げているが、その評価者の独立性が担保されていないと、どんなに優秀とされる政策提言も正当な評価が受けられないのではないかという危惧を持つ
政策担当者が未来の担当者の評価を受ける為にも政策決定過程の議事録や科制作過程データ、その後の結果を第3者が評価できるもろもろのものを残しておく心構えが必要なのではないか。
各省のデータの公表を求めているが、それは官僚とその身内、つまり広い意味での身内の問題ではないか?
独立機関の評価を受けるという前に、客観的評価のできる独立機関をどう作るかの方が問題だ。
この本の中に独立した研究機関に予算を配分することで中立性は保てるのか?その機関で研究員を育成できるのかという問題の答えは用意されていない。
将来の社会ニーズの客観的把握ができるのだろうか?
その時の政治的事情の考慮は因数にならないのか?
評価に客観的評価に耐えない因子が多く入るということは、EBPMをEBMの水準まで持ち上げるのは難しいのではないだろうか?
残念ながらこれでは官僚組織以外に受け入れられないだろう。
(引用)
学術研究充実のために何が必要かという項目の中で信頼性の高い研究を蓄積するためには、多くの研究者が日本のデータを利用した質の高い実証研究を生み出す必要があるそのためには適切なビア・レビュー(査読)を経た出版過程が必要である。しかし厳しいビア・レビューを行う欧米の主要学術誌に掲載可能本数には限りがあり(中略)日本の政策課題に関する研究の主たる受け皿は日本国内の学術誌が担うことになるが、質の高い研究であっても、国内学術誌に掲載される研究は欧米学術誌に掲載されるほどには評価されない傾向にある。
欧米の研究者が一般的に日本固有の政策それも欧米化の研究をキャッチアップした研究のローカル版を注視すると思えない。
日本でもごく一部の政策担当者以外欧米の政策の結果検証に興味を持つか問題である。
後追いで、しかもルーティン化されつつある政策評価に関して海外から注目されると思うのは間違いではないか
研究に興味を持つ例として考える。
グローバル化したGAFAに対してどう税金をかけるか、国によって異なる税法ではなくあらゆる国が納得できる政策提言をおこなえれば、どの学術誌も取り上げるのではないか?
3周遅れの日本がそれでもコツコツこなしてゆかなければ進んでゆかない行政であり切れ目を作れない政策だ。そんな事情から見れば、この本に敬意を表するとともに早く実践されて成果を発表されることを望む。
それでも爪を立てる理由は
この本で取り上げられている、データのオープン化(次世代のチェックに耐えるデータ作りから始まる場合もあるが)と評価者の独立性確保と育成を果たしてゆかなければならないことを示してくれている。
⇒何が言いたいか・・・今を乗り越えることを考えるより歴史のふるいにかけられて残る資料を作ることを考えるとよい仕事が出来るのではないか
(私的で勝手な推測だが、この本のアイデアは10年前にスタートしたのではないかと考える。)
⇒何が言いたいか・・・世の中はフルスロットルで動いている!
EBPMは政策評価の外側にあるものではなく、政策評価の中にエビデンス構築とエビデンスの信頼性および適合性の評価が含まれている。という部分がある
EBPMが進む中で
それでもなおこの本のテーマの1つはタコツボ化することを避けることだろう。
避けるためには
デジタル時代で行われる社会調査博すとも限りなく低くなり全数調査に近づくことができるだろう。
そうすれば、検証方法も完全にオープンになる。
そのための準備として
あらゆるデータを残しオープン化すること。
独立した評価者を育てる。
行政は発注者であり、審判者であることに徹する。
そうすることで対等な議論が生まれる。
3周遅れを取り返す手段はここにもある。
社会全体の動がデータ化されていることにより、仮説に答えたり、疑問に答ええる時間短縮が起こる。
一方
デジタル化時代では、その能力がルール、法、規範よりも速いテンポで変化してしまうため、研究者は進む方向にあるリスクを想定し対応する造像力を持っていないと、不可視観察者の存在を見失うことになる。
研究者はビックデータ収集・分析・活用というスキルを持っていることが前提になるだろう。
最後の反省
この本の題名が<エビデンスを重視した政策立案>だったら買わなかったかも・・・
というにも社会のニーズのとらえ方がより正確になってきているのにEBMベースの研究。
それこそサプライサイドの経済学の一般化活用、つまり供給サイドに立った事業の効率化を測るためのスキル取得と言われてしまうかも?
結局、EBPMの経済学ってなんだ?
研究者の学問というより官僚の企画書作成用参考書?
それならそれで小さな学術集団として完成されていい。
そこまで興味を持つ者がいなければそれはそれで仕方がないが、誰が何を、どう一般化する?
この本を市販して
誰を説得する。
何を説得する。
生涯学習者としては、<お上に政策あれば下に対策ある>ことを誰もが知っている。
この意味は、
税金の効率的な使用ができない政府には極力税金を払いたくないというインセンティブが働くということになる。
信頼とは何かを考えながら、書籍を媒介にして、生涯学習が行動の糧とするような前向きな発言を心掛けています
