「ビット・バイ・ビット デジタル社会調査入門 著マシュー・J・サルガニック」を読む

帯の広告

人々の行動に関するビッグデータを分析している「データサイエンティスト」必読

ビックデータ分析の可能性と倫理を縦横に論じた書

竹村彰通 滋賀大学データサイエンス学部長 東京大学名誉教授

 

ビッグデータが変える社会科学の世界

ソーシャルメディアや納税記録などのビックデータ、集合知を使った新しいサーベイ法、デジタル社会実験などの最先端の手法が、今、社会科学の世界を変えつつある。

ビックデータ時代の社会調査で何が可能となったのかを、豊富な研究事例の紹介とともに、丁寧かつ徹底的に解説する刺激的な書

計算社会科学の決定版テキスト。

 

表紙裏

計算社会学の決定版!

ビッグデータやデジタル実験から得られるデータの活用。

ウエブやウェアラブルデバイスを用いた新しいサーベイ法、機械学習・自然言語処理・人工知能を用いた分析手法の援用など、デジタル時代の社会科学-「計算社会科学」―は今、革命的な進化を遂げつつある。

本書は、近年、世界的に発展しつつあるこの計算社会科学について、第一人者が単独で書き下ろした世界初の教科書である。

この本を通じて、読者は最先端のデータ分析や社会調査の理論と方法に触れ、学ぶことができるはずだ。

デジタル時代の社会調査に関心を寄せるすべての人々へ。

・・・・訳者あとがきより

 

本書の特徴

データサイエンス的な先進性と社会科学的な正当性の両立

多くの研究事例を用いてポイントを解説

デジタル時代の社会調査を伴う倫理的音大について深く考察。

 

内容紹介の広告がないので目次紹介

第1章 イントロダクション

第2章 行動を観察する

第3章 質問をする

第4章 実験を行う

第5章 マスコラボレーションを生み出す

第6章 倫理

第7章 未来

 

著者の目標とする読者

(引用)本書はデータサイエンスをしたい社会科学者と、もっと社会科学をしたいデータサイエンティスト、そしてこの2つの学問分野のハイブリットに興味を持つすべての人のための本だ。

本の特徴

(引用)本書は3つの特徴を持つよう心掛けている。

1.      役に立つ

2.      未来志向

3.      楽天的

 

アウトライン

4つの研究デザインの説明

1.      行動を観察

2.      質問すること

3.      実験すること

4.      マスコラボレーションを生み出すこと

幾つかの結論

デジタル時代には、かつて行えなかったような実験を行うことが可能になる

 

 

爪を立てる

デジタル時代にメタデータを作り上げると切り口を変えることで、研究者の求める方向に沿った結果を切り出すことができる。

平穏なゆったりした日は帰ってこない。

なぜならデジタル化した世界は前向き・上向き・フルスロットルで活動しているからだ。

コツコツ積み上げるビジネスは、小さく手も数多く立ち上げてその中の数パーセントが大きく伸びればよい世界へと変わった後、勝ち残った企業を刈り取って大きなグループに吸収してゆく。

それを、社会学的に見ればビッグデータの活用でその流れをつかむ。

投資家はPDCAをうまく回している取締役とOODAを鍛えている企業に投資したいと願っている。

投資先を選べるわけだから

ラズロ・ボックは著書ワーククルーズの中で(引用)どうすれば自分が傑出した人材を見つけたかどうかがわかるだろうか?という自問に応えて<自分より優秀な人だけを雇う>としている。

素直そう、人当たりが良さそうなどの先入観を取り除き、リスク分析と、投資目標選択時のスキルを持っておくべきだと

データサイエンティストとしての視点を教えてくれる。

 

第一印象って科学ではない?
 

こんな話がある

<銀河の片隅で科学夜話著全卓樹>(より引用)

嘘には3種類あって嘘、真っ赤な嘘、そして統計である・・・ベンジャミン・ディズレー

有用な概念である確率に思わぬトラップが潜んでいるのだ

何が言いたいか⇒データサイエンスに接するにはその中に潜むトラップを見逃さないスキルが求められる。

リスクに関しても同様にリスク測定と分散をどう測定するかそんなスキルが求められている。

 

もう一点

少し長いが同書(銀河の片隅で科学夜話)から引用

芸術が現実世界を模倣するよりむしろ、現実世界が芸術を模倣する、と語ったのは19世紀末の頽唐芸術家オスカー・ワイルドである。

しかし往々にして、我々の現実世界は芸術の無様な崩れた模倣である。

それはわれわれ現代人にあって、道徳的成熟が知的成熟に追いつかぬことの帰結、社会的知性が技術的知性のはるか後ろを歩んでいる事実の反映なのであろうか。

 

本書で言われているコト

能力が増大するのにともない研究者は整合的でなく重複するルール、法規範に従わなくてはならなくなる。

整合的でなくなる理由の一つはデジタル時代ではその能力がルール、法、規範よりも速いテンポで変化する事だ。

 

何が言いたいか

デジタル化によって生まれた問題とは、前向き・上向き・フルスロットルで動いている社会を科学する際に、前例踏襲、先輩の背を追うスキルようなことでは済まされない危機感を持たない「知」の捜索は難しいのではないか。

 

最後に<訳者あとがき>からの引用

原著が出版されたのが2017年11月だから、それから2か月足らずで翻訳を始めることができたことになる。

この本の意義は古びることはないものの、最先端の調査方法論をいち早く日本語圏の読者に伝えたいという思いから、2019年の4月刊行を目標にして(略)

とある。

の本のデータサイエンスの遅れが社会科学の調査方法にも打影響を及ぼし、その危機感を訳者チームが感じてのことだと思う。

大学教育、研究者育成の問題よりも根の深いところで、何か致命的に遅れている部分があって、それに危機感を持っている人達のスピード感が伝わってくる。

 

それにしても理系の層が薄い

 

研究者を育てる前に、研究者の卵を育てる、その前に研究者の卵を産む社会を育てないととても技術立国とは言えないだろう。

GAFA誕生以降、2番じゃダメなんです!という世界がより進んでいる。

 

統合化されていない知の重要性を知り、それを集合させる可能性を感じさせる本。

 

研究者が新しい調査方法論を活用した論文が早くに世に出てくることを願わせるような緊迫感を感じさせる本になっている。

 

幾つかのキーワードは本の中で使われているために紹介

 

信頼とは何かを考えながら、書籍を媒介にして、生涯学習が行動の糧とするような前向きな発言を心掛けています

 

 

にほんブログ村 本ブログへ

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

にほんブログ村