「NOでは足りない トランプショックに対処する方法 著ナオミ・クライン」を読む

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「アメリカ社会が持ちうる最適な要素全てを象徴する男」への断固としたNOを!

みなが結集して実現に向け闘える、より良い未来増への大胆なYESを!

トランプショックに対処する方法

「ショック・ドクトリン」で世界を驚愕させたジャーナリストによる警世の書。

白人至上主義と女性蔑視が歯止めなくはびこり、地球の生態系が崩壊の瀬戸際にあり、公的領域の最後の名残が資本によってのみこまれようとしている今、ただ越えてはならない線を引いて、「ノーモア」という以上のことが必要なのは明らかだ。

そう、それをすることが必要であり、そして同時に今とは違う未来に向けての、情熱を掻き立てるような確かな道筋を描くことが必要なのだ。

その未来とは、単にトランプが出てくる前に私たちがいた世界…つまり、私たちにトランプをもたらした世界…ではありえない。

それは、私たちがまだ行ったことのない”どこか”でなければならない。…第⒒章より

表紙裏

「アメリカ社会が持ちる最悪な要素全てを象徴する男」「アメリカ始まって以来の“核武装したリアリティ番組大統領”の登場

大統領執務室と「マール・ア・ラーゴ」、そしてツイッターから矢継ぎ早に繰り出される政策…規制国家の解体、福祉国家と社会福祉事業に対する徹底的な攻撃、移民と「イスラム過激派によるテロ」に対する文明的な戦い…。

それらは、すでにもっとも弱い立場にある人々への明白な脅威であることに加えて、次から次へと危機の波を生じさせるトランプ版「ショック・ドクトリン」である。

この脅威に対して「NO」と言うだけでは足りない!

際限のない収奪と蕩尽に基づく社会から、思いやりと再生に基づく社会へ、みなが望みを必要とするビジョンをつくり、実現するために、私たちはたゆまぬ努力をつづけなければならない。

トランプへの怒りをもとに、切るような迫力の筆致で書き上げられた、人類と地球の未来のための警世と行動の書。

 

 

ショック・ドクトリンを引き継いでいる本。

新自由主義というイデオロギーによって起こる問題、市場は常に正しく、規制はつねに間違いで、民間は善であり、公共は常に悪、公共サービスを支える税金は最悪だとする考え。

著者の考え方は一貫していてショック・ドクトリンで言ってきたことがアメリカで起きているのを説明している。

ショック・ドクトリンとは惨事便乗型資本主義の事で、

自然災害から利益を上げる例としてハリケーン・カトリーナを例にして人災の理由は極端に激しい暴風雨(気候変動に関連図けられるもの)と公共インフラを放置と脆弱性が重なったのであるのに、解決策は一層気候変動を悪化させ、公共インフラをより脆弱にするものだった

新自由主義経済は外国に輸出するだけではなく国内にも活用されていることが明らかいなった。

 

新自由主義プロジェクトの政策手段とは

公共事業の民営化、企業領域における大幅な規制緩和、公共サービスの削減による減税など、と説明している

 

新自由主義の精神の説明

2008年の金融危機以降、国際通貨基金(IMF)、欧州委員会、および欧州中央銀行(通称トロイカ体制)は、財政危機に陥った国に次々と「ショック療法」…金融支援と引き換えの構造改革…を受け入れさせてきた。彼らはギリシャ、ポルトガル、そしてフランスに対してまでこう言ってきた…「救済はしてやろう、だが、みじめな屈辱と引き換えだ。自国の経済問題の管理を断念し、重要な決定はすべて我々に委任すること。経済の大部分を、たとえ鉱物資源など、その国独自の主要な産業であっても民営化すること。給与年金および医療費を削減すること。これが条件だ。

こう言われたら、結構な問題だ。コロナウイルスにひどくやられたヨーロッパはこれが一因。平たく言えば<カネも出すけど口も出す>

 

著者が問題視するのは

分断された社会をあえて作る。富者と貧者に峻別された世界。

結果として今後最悪のショックが起きた場合でも、富者階級には何の問題もない。自分たちは富とコネで守られているという確信がある。

と纏めている。気候変動は人の手で作り出す不況や戦争よりもダメージの大きい惨事になる可能性が高い。

気候変動に関する著者の考え

頻発する猛烈な暴風雨を除けば、気候変動は少しずつ緩慢にしか進まないために、そこからの警告は潜在意識の中に…・危険なほどたやすく…・押しやられ、より明白な日常的な緊急事態の陰に隠されてしまう。

ときの権力者、政治家に求められるのは、その時々の諸問題を一つ一つクリアする現場力と、遠くを見通せる想像力を兼ね備えていることだろう。

 

著者のいくつかの意見

複数の危機が重なるこのタイミングをとらえて、人々の暮らしを大幅に向上させ、貧富の差を埋め、給料の良い低炭素の雇用を数多く創出し、草の根から民主主義を再活性化する政策を推進できるのではないか。

問題に対し優先順位をつけない

お互いを尊重したうえでの意見の対立は新たな地平に達するプロセスとして健全かつ必要なものだ。…議論になるということは進んでいるということなのだから。

目先の利益や富に依存するシステムは、人間と地球を限界まで採掘できる資源として、あるいは海の底や刑務所の独房のような、はるか遠くの目の届かないところに捨てるごみを扱うことを構造的に求められているということだ。

力ずくで搾取するのではなくケアと同意を持って行動するコト。

具体的な政策はすべて、この価値観の転換から生まれてくる。

例えばグリーン雇用…ヘルメットをかぶってソーラーパネルを設置する人だけではなく、高齢者や病人の介護、アートの製作、教育、保育園などもそうだ。

 

ノスタルジーとの決別

土地の強奪と有色人コミュニティの多くを組織的な形で経済的社会的には移籍してきた「国」というものの美化された記憶を頼りにしてはならない。発想の源は、私たちが描く未来の姿にこそなければならないのだ。

 

開かれた世界へ

よそから来た人や知らない人を恐怖や疑いの目で見るのではなく、困っていれば誰でも向かい入れる文化、そして年長者と彼らが生涯をかけて蓄積してきた知識を大切にし、ごく最近考案された「カナダ」というものより、はるかに昔から存在する知の様式を大切にする文化を育むことに他ならない。

 

具体的にはリベラル派の経済学者ボールグールマン(ノーベル賞受賞者)でさえ経済格差や銀行の不正行為の重大さを指摘しながらその問題に本気で取り組もうとしたバーニーサンダースを繰り返し攻撃した(大統領選挙時)と非難している。

民主党の多くが新自由主義を認めている。(クリントン・オバマの時代)

 

訳者はあとがきで、こう書いている。

拝金主義の不動産王にして、彼独自のモノではなく、1980年代、米レーガン・英サッチャー両政権下で推進され、1990年代以降に世界の主流となった新自由主義システムそのものが生み出した当然の帰結なのだから、トランプを生んだ物語の底流にある価値観そのもの(略)

問題はトランプだけが問題なのではなく民主党時代も新自由主義の政策を推し進めてきておりUSAの総意だということだ。

 

最後に、著者は活動家としてグループで<リーブ・マニフェスト>を作り

政治家を目指す全ての人々に、この機会を捉え変革がもはや先送りできない急務だという認識に立つよう訴える。

これは、この国が過去に損害を与えた人々、現在いわれのない苦しみに苛まれている人々、そして明るく安全な未来への権利を持つ人々に対する、私たちの聖なる勤めなのである。

今こそ大胆になるべき時だ。

今こそ跳躍すべき時が来たのだ。

と結んでいる

 

訳者はあとがきで、こう書いている。

拝金主義の不動産王にして、彼独自のモノではなく、1980年代、米レーガン・英サッチャー両政権下で推進され、1990年代以降に世界の主流となった新自由主義システムそのものが生み出した当然の帰結なのだから、トランプを生んだ物語の底流にある価値観そのもの(略)

しかし問題はトランプだけが問題なのではなく民主党時代も新自由主義の政策を推し進めてきておりUSAの総意だということだ。

 

 

 

爪を立てる

本の内容とは直接の関係はないが、トランプが勝つと言っていた日本のマスメディアはあったか?という疑問がまずある。

情報を売ることや、分析することで糧を得るのは難しい世の中になってしまった。

 

著者の行動力はターゲットに向かっての情報収集から目標をもった活動家の本領発揮というところだろう。

<みんなの綱領を起草する>行動は、著者は頭で考えて纏めたものを発表することで終わるのではなく、考えて、その解決策を模索し行動する人だと言える。党派に偏らない綱領の作成と、それを広く認めてもらうべく行動する。

そんな思考力と行動力を兼ね備えた著者は世界中からこれからも注目され続けるだろう。

そんな人に日本的質問。

取引とはウイン・ウインの関係を維持してゆくことで、相手を威嚇して自分に従わせるようなことがあれば、いつか仇を取られるとか、相手にされなくなるとかは想像できるが、そうするには膨大なエネルギーが必要だという厄介なことも想像させる。

火事場泥棒は最も嫌われる人間の一つのパターンで、そんなに率直に脅すのはやはり品が悪い。

綱領が党派を超えた問題解決を目指すというなら共通認識を得られるところから作り上げようとするのだろうが、地球温暖化の問題を待てるのか?

つまり優先順位をつけなくて間に合うのか?

 

同じ歴史観や価値観を持たない人との共存はできるのか?

具体的には、中国には3観(世界観、価値観、人生観)という言葉があるらしい。お互いを認め合うという多様性を保つにはある程度の距離や、色が混じらないような区切りが必要なのではないか?

それを解決できるのは共通目標?

 

素朴な興味、ミシェル・オバマの言葉「向こうが下劣なら、こちらは品位を高く持つことだ」を借りてとトランプに当てつけているが、習近平には送るとすればどんな言葉を?

少なくもトランプは選挙で選ばれた任期のある権力者、一方習近平は・・・・の権力者。

 

著者の行動のスタートは共通項の確認と積み上げで、気の遠くなるような作業を待っている気がする。

出来るかもしれないと思わせるのは,ベクトルが同じ方向を向いていれば可能だろうと勝手に解釈している。

その共通項とは…気候変動は人間みんなの問題だから…

この解釈があっているとすれば

著者の言う<これがショックを逆転する方法なら>結構ハードな方法だと思う。

 

関連したことでの疑問、格差問題について日本は格差が大きくなっているというより、皆で貧困に向かっていると感じるのは個人的に向かっているだけか?

日本企業の生産性が低いのは設備投資が遅れただけ?

もし今、企業が現金を持っていて良かったとしても、それは周回遅れで、競争相手の背中が見えただけ?

こうした質問はほかの人に答えてもらうことにする。

 

著者の名言

右派が得意なのは後ろ向きになることだとすれば、左派は内向きになってお互いに非難の応酬を続けることを得意とするのだ。

 

ショックを受けると人は思考停止してしまい、子どものように指示待ちになってしまうという危険性をはらんでいる。

 

信頼とは何かを考えながら、書籍を媒介にして、生涯学習が行動の糧とするような前向きな発言を心掛けています

 

 

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