「暗号通貨vs国家 ビットコインは終わらない」読んで考える

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表紙裏

金融危機まっただなかの2009年、新しい通貨の時代が切り拓かれた。

暗号通貨の面白さって、いまだに世の中には広まっていない。

いまだに儲かるとか、もうもうからないとか、そんな話が多い。

カネは大事だが、肝心ではない。

なぜあんな訳の分からないものに多大な情熱は注がれているのか。

それこそがポイントだ。

設計の奥深さ、込められた理想、そして、現状。

この本で語りたいのはそれらのことだ。

良くも悪くも暗号通貨の相場は落ち着いている。

だから相場に右往左往しないで、中身を知るには適している。

 

この本の発行年月日は初版一刷で2019年2月15日とあるので一年前になる。

時代遅れになっていなければよいが・・

 

個人的に押さえた著者の考えるデジタル通貨の特徴をポイント(引用)

l  「国家による法定通貨ではない、物理的実体のないデジタル通貨」のように思ってもらえれば十分だ

l  暗号通貨は単なるキャッシュレスの一形態ではなく、国家や情報企業に、私有財産や個人情報を食い物にされないための、一つの抵抗運動だ。

l  集中した権力から独立した通貨が欲しい。そうした願望が暗号通貨コミュニティの底流にはある。それがわからないと暗号通貨はただの新奇な通貨や投機の手段に見えてしまうだろう。

l  国際送金を迅速かつ安価に行える。ビットコインが主流の通貨になると、国家は戦争を実行するのが難しくなる。戦争には巨額に費用がかかり、それは通貨の増発や国債の発行で賄われることが多い。だが法定通貨の価値が低いと、そうやって戦費を調達するのは難しくなる。言うまでもなく国家はビットコインを増発出来たりはしない。

l  P2Pの世界になるので中抜き業者を介在させない。

l  信頼できる第三者を要しないで信頼不要の取引となる。

 

通貨として考えると著者は通貨の機能を

①交換の媒介

②価値の尺度

③価値の貯蔵手段

と3機能に分類するが、しひらたく言えば著者は交換の媒介を通貨の本質としている。

国際送金で贋金が作れず、二重払いがなく、手数料が安いことを重要視している。

仮想通貨を可能にしたのがブロックチェーンでこの仕組みを多くのページ数を割いて説明がある。

メリットは第3者を要しないで交換が自動実行されるために信用不要な取引となる。

この信用不要と管理者不在に多いに惹かれるところがある。

カネの動きに国に関与させず、土地やモノ例えば世の中に一つしかないモノ(例えば有名人の使ったギターとか有名な盆栽のように固有なものに関しての来歴が保証されるという意味で)の取引にも優れている。

 

分散システムの紹介として

(P198引用)ハイスキルとロースキルの分極化が進みつつある

「追われる国の経済学」でリチャード・クーも同じことを言っている。

「先進国労働者は労働者の二極化が進み非追国の労働者は自力で頑張るしかないと」。

加えて著者は個人によるExitだけでなく集団によるVoiceに選択肢もあることは知っておいたほうがよいと述べ、最近フランスで起きた黄色いベスト運動を紹介している。

このベスト運動は新型のモデルとされ特定のリーダーがおらず、運動の情報がP2PネットワークのSNSで広まったことが特徴だ。各自がそれぞれ行動し全体がひとつのまとまりとして機能する姿は、分散システムそのものだと紹介している。

 

 

 

爪を立てる

著者はICO(イニシャル・コイン・オファリング)において事業者が企画書の内容を実行しなかったり、資金を持ち逃げしたりする例や、機能がほとんど備わっていないクーポンが転売されるなどの問題点をあげている。

管理者がいないのにどう解決するのか?

ブロックチェーン技術を活用して中国では様々な個人データが信用ポイントに集約され、その値が高いと好条件でローンを組めたり、低いと公共交通機関に乗れなかったりする管理社会と区別できる暗号通貨の世界はあるのか?

従来の民間銀行が口座を持たない個人にスマホを活用したデジタルコインでの支払いやデジタルコインを活用して国際送金の分野に進出したり、デジタル化された主要通貨バスケットを準備したうえでの為替取引が行われた場合、仮想通貨の出番はどこになるのか?

相当小さな市場になるのではないか?

 

個人情報を集めることに関しては、企業であろうと国であろうと個人データと解析したデータをすべて開示する(タイムラグを設ける条件とかを付けても)以外に防ぎようがないのではないか?

個人情報は必ず洩れる。

個人情報を誰が勝手に活用しているのかわからないよりも漏れても個人の不利益にならないようなルール作りのほうがが現実的ではないのか?

 

黄色いベスト運動で中心人物がいない事のメリットは判るが、継続して進展してゆく、どこかでコントロールしなければならない場面に遭遇したときどうするのか?

 

もしかしたらブロックチェーンの技術で解決策が編み出せるのか…期待している。

 

問題を超えられるのはイノベーションしかないがイノベーションは誰の味方になるかわからない。

 

黄色いベスト運動は同じような形式が香港にもあられたが、それを支えてゆく<考え・価値観>はある程度決まっているだろう。

そして、その瞬間の活動を支えるのはできるかもしれないが、継続するのか難しい新しい試みと言える。この先はイノベーションではなく<思いを具現化するためのAI>という考えに立って、目的を持ったイノベーション活動というベクトルを意識した投資を考えるのはどうだろうか?

 

新しい技術が開発されると、いろいろな問題が水面上に現れてくる。

それ名前からあった問題を先送りしてきた場合もあるし、技術進歩によって問題が具現化する場合もある。

対応策を考えることで、足元が固まる。そんな指摘をしてくれる一冊。

 

 

信頼とは何かを考えながら、書籍を媒介にして、生涯学習が行動の糧とするような前向きな発言を心掛けています。

 

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