「MMT現代貨幣理論入門 著Ⅼ・ランダル・レイ」の外側に触る

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第一人者による「バイブル」待望の邦訳!

アメリカで大論争、国会でも議論白熱

いち早く日本に紹介した中野剛志氏と、「反緊縮の騎手」松尾匡氏によるダブル解説

貨幣観を一新!

MMTはイデオロギーでもなく、願望でもなく、現実なのである

MMT(現代貨幣理論)の特徴

l  日本や米国のように「通貨主義」を有する政府は、自国流通通貨建てで支出する能力に制約はなく、デフォルトに強いられるリスクもない。財政赤字や国債残高を気にするのは無意味である。

l  政府にとって税金は財源ではなく、国債は資金調達手段ではない。政府が先に通貨を支出しない限り、民間部門は税金を納めることも、国債を購入することも理論的に不可能である。税金は所得、国債は金利に働きかけ、経済を適正水準に調整するための政策手段である。

l  政府は「最後の借り手」として、希望する人々全員に、一定以上の賃金水準まで就業することを約束できる。この「就業保証プログラム」は「、完全雇用と物価安定」という公共目的に資する、強力な経済安定装置である。

第一人者による「バイブル」待望の邦訳!

 

取り上げたいところ

日本の問題は何か?<ド文系大国日本の盲点(著高橋洋一)>ではIMFが日本の債務は実質的にゼロと言っていた。今回は<財政政策の新しい形について>となる。

巻頭解説では中野剛志准教授がこのように書いている(抜粋)

主流派経済学はマクロ経済運営の中心に、中央銀行による金融政策を位置づけているがMMTは財政政策を中心に位置づけ、記入政策は従としている

この本の目的は(引用p14)本書の最も重要な目的は政策形成の基礎としての役割を果たせる理論を呈示する事である。

そして目指す社会とは帯広告にあるように(引用)政府は「最後の借り手」として、希望する人々全員に、一定以上の賃金水準まで就業することを約束できる。この「就業保証プログラム」は完全雇用と物価安定」という公共目的に資する、強力な経済安定装置である。

ということを想定している。

 

巻末解説で松尾匡教授はこうまとめている。

そもそもMMT論者は自分たちの主張をわざと「異端」と位置付けているかのような言い方をするがMMTの主張とされる次のような事実命題は、実は異端でも何でもない。まともな経済学者ならだれでも認める知的常識の類であって、新奇なところは何もない不変の真理である。

l  通貨発行権のある政府にデフォルトリスクはまったくない。通貨が作れる以上、政府支出に財源の制約はない。インフレが悪化しすぎないようにすることだけが制約である。

l  租税は民間の納税のための通貨へのニーズを作って通価価値を維持するためにある。総需要を総供給能力の範囲に抑制してインフレを抑えるのが課税する事の機能である。だから財政収支の帳尻をつけることに意味はない。

l  不完全雇用の間は通貨発行で政府支出をするばかりでもインフレは悪化しない。

l  財政赤字は民間の資産増(民間の貯蓄増加)であり、民間への資金供給となっている。逆に、財政黒字は民間の借り入れ超過を意味し、失業率存在下ではその借り入れ超過(貯蓄不足)は民間人の所得による貯蓄減でもたらされる。

ここを確認……国内民間収支+国内政府収支+海外収支=0

 

初読み時に抑えたポイント。

まず巻頭解説と巻末解説、それに帯にある特徴で本書の要旨はまとめられていると言ってよい。

 

個人的に抑えたポイントを示す。

ポイント①

MMT(MODERN MONEY THORY)とは人々がお札という単なる紙切れに通貨としての価値を見出すのは、その紙切れで税金が払えるからだという貨幣論を前提に構築される。

ポイント②

経済は3部門に分けることができる。すなわち国内政府部門、国内民間部門(あるいは非政府部門。これには家計、企業、非営利組織を含む)、海外部門である。周知のとおり経済全体ではすべての部門の支出を合計するとその所得の合計に等しくなる。

ポイント③

失敗した政策、経済成長とベーシックインカムから完全雇用政策に移るべきである。福祉を受けるのではなく全員が(能力を最大限発揮して)働き、社会に貢献すべきである。

ポイント④

開放経済のトリレンマ

ü  国は、「為替レートの安定を保つ」

ü  「金利の安定を保つ」

ü  「自由な資本の移動を認める」

という3つの政策のうち2つしか選ぶことが出来ないという関係があるが、この問題を解決するためには変動為替相場か資本規制、または両方の組み合わせが必要である。

ポイント⑤

政府の財政政策自由度は大幅に増すことになる。そしてそれを縛るには正当な理由が必要になる。具体的には縛りに関する注意引用(P356)

イ)    過大な支出はインフレを引き起こす

ロ)    過大な支出は為替レートに圧力を加える。

ハ)    政府による過大な支出は民間のためにほとんど資源を残さないかもしれない。

ニ)    政府が全てを行うべきでない…インセンティブへの影響をねじ曲がったものにしてしまう可能性がある。

ホ)    予算編成が政府のプロジェクトを管理し評価する手段を提供する

およそこの5点を守れば、政府は財政赤字など、気にすることはない。

その根拠

l  政府自身が支払う金利を経済成長率より低くすることだけで持続可能性は達成される。

l  変動相場制による海外からの評価があり海外収支が調整される

ポイント⑥

海外収支の問題について

基軸通貨について

引用(P393)すべての国が同時に経常収支黒字国になることはできない。例えばアジアの輸出国がアメリカへの輸出に大きく依存しているのに対し、米国は経常収支赤字で、輸出国が蓄積したがるドル資産を供給している。少なくともいくつかの国の政府は、世界の貯蓄者が欲する純金融資産を供給で切るように絶えず赤字でなければならない。

これが国際準備通貨を供給する国の政府の役割を果たすことが理にかなう。当分の間はそれが米国の政府なのである。

その他、英ポンド、日円、欧州ユーロ、カナダドル、豪ドルの金融資産も好まれていてこれらの通貨建ての資産は保険や年金基金の分散ポートフォリオの中でしばしば保有される。それらの国は自国通貨建ての負債を発行することによって経常収支赤字を容易に維持できる。それ故にこれらの国は、程度の差こそあれ「特別」である。

多くの発展途上国では自国通貨での負債に対する海外の需要は存在しない。

そのため、発展途上国のデフォルトリスクがないことを保証するのは債務額に対して100%の外貨準備だけである。

変動為替は国内の政策余地の制限を取り除く。(ユーロが悪例として紹介されている)

 

 

爪痕を残す

l  国際準備通貨であるドル(米国)が貿易赤字を問題にするのは理屈が通らない(赤字による国内政策の裁量幅を得ているのに)気がするのだが…

l  MMT理論が日本で通用するのであれば、日本政府の政策幅はかなり広く選択できる。しかし新しい問題として、どこまで政府を信用するかという問題が起こるのではないか?結果本書では取り上げていない新しい<テーマ政府の力量も国民の当事者意識も格段にレベルアップしないと取り返しがつかなくなる可能性について>が生まれる

l  どの国でもMMTは通用するとされている中で、数カ国ある特別な国のなかに日本が入っているがその特別な国から外されないための力を維持する具体策が必要。

l  理論入門だからと言って本の厚さからしても内容の濃さには今回だけでは消化不良気を起こしている。

反省

光源としての力の強いこのような本は簡単に影が見えない。そんなときはもっと読み込むか、関連した本を探すか反対意見を聞きながらあら捜しをするしかない。

それこそ巨人の肩に乗って、立っている人の「知」を必要としている。

この本は従来の学説を信奉している学者、実践している官僚から激しく強く、学説やら、コントロールできないインフレの可能性やら、財政赤字に関して等、様々な問題が提起されたり、反論されたりすることを期待する。

具体的には(p434から引用)過去に失敗した政策を続けたがる人もいる。彼らは試みたものの失敗に終わった2大戦略…経済成長と現代の衣装をまとった福祉、すなわちベーシックインカム…を利用したがる。福祉を増進させても失業と貧困の問題は解決しない。

こう言われている以上反論しない訳にはいかない人が相当数いるはずだ。

 

疑問①

・・・・通貨発行権を持つ政府が、これから仮想通貨を扱うか

(個人的分類で3種に分けた)

イ)    デジタルコイン(支払う時に便利な銀行口座の代理としてのお財布通貨として認める

ロ)    融資のできる新しい銀行形態として認める、

ハ)    中央銀行に任せている通貨発行権を手放す。暗号通貨を考える時に非国家であることと分散システムで新しい社会を形創ろうとしているように見える。そして一つ一つの取引情報が集積されて中央管理できる可能性を国は手放だろうか?

疑問②

コラムにある<租税が貨幣を動かすそれゆえビットコインは貨幣ではない>から考える…フェイスブック(Libraの方向転換)の株は買いか?

 

そろそろ失われた20年(30年)の反省ができるような、筋の通ったより明るい未来に関して議論できるような期待を持たせる一冊。

関連して読む予定としている本

「追われる国」の経済学 著リチャード・ク―

MMTとは何か 著島倉 原

 

 

 

 

 

 

信頼とは何かを考えながら、書籍を媒介にして、生涯学習が行動の糧とするような前向きな発言を心掛けています。

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