「不可能性の時代 著大澤真幸」を読む
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表紙裏
「現実から逃避」するのではなくむしろ「現実への逃避」する者たち・・・・・
彼らは一体何を求めているのか。
戦後の「理想の時代」から、70年代以降の「虚構の時代」を経て、95年を境に迎えた特異な時代を、戦後精神史の中に位置づけ、現代社会における普遍的な連帯の可能性を理論的に探る。
大澤社会学・最新の地平
表紙裏にある「最新の地平」とは2008年現在だろう。
入手した本は2016年の第5刷なので読み継がれている本というか大澤真幸という人がその後も長く著作活動に励んでいて、そこから振り返ることでこの本にたどり着くとも考えられる。
著者に最初に出会ったのはというより手に取った本は「社会学史」で俯瞰する目を持った人はどんな本を書いてここにたどり着いたのか興味を持った。
題名に興味をもって<問いの読書術>を読んだ。
そしてもう少し深くということで「不可能性の時代」にたどり着いた。
社会の仕組みや人間関係に興味を持つ身としてはそんな知り方もあると思う一方、どれだけの「知」に会ったかよりも、巡りあわない「知」の方が多いだろうと、うすうす気がついてはいる。
そのことは後に譲ることにして「不可能性の時代」について
章の紹介。
1. 理想の時代
2. 虚構の時代
3. オタクという謎
4. リスク社会再編
5. 不可能性の時代
6. 政治的思想空間の現在
結 広がりゆく民主主義
今回も個人的な感想。
残った言葉
「理想→虚構→不可能性」という時代区分
著者のあげたテーマ「オタク」、「リスク社会」、「不確実性」「家庭の排除」まだある筈だが共通しているのは10年掘り下げてはいるが解決されているわけではないということ。
最近一般的に使われているが
本の中に「信仰の外部委託」という言葉がある。
10年前に著者が使った意味と違うかもしれないが
これから人は知識の外部委託というか、莫大な量の「知」を脳に取り込むという内部化、そして経験をバーチャルで経験することで内部化する。
外部化と内部化の融合が始まっている。
そんな新しい人間に変化しつつある兆しをこの本から感じ取れる。
人が内に向かって問えば、外部脳(膨大な知を蓄積している図書館)が一瞬に答えを出してくれる。
スキーでも飛行機操縦でもいいが環境さえ整えることが出来れば
人間がシミュレーションとして経験したことが、現実での経験として認識されてしまう。そんな世界がすぐそこにあるとして、
人間は対応できるのかという問いに
すでに人間が第一歩を踏み出していることを「現実からの逃避ではなく現実への逃避」という言葉で著者は捉えていた。
もう一つ
この本が出版されたころロバート・D・パットナムの社会関係資本のいう、P274つまり統治者=日統治者の関係が成りたっているとみなしうる民主主義は、小規模でローカルな共同体においてしか成り立ちえない(中略)
『哲学する民主主義』や孤独なボウリング」において市民が参加する草の根民主主義の意義を説く。阿蘇のような民主主義は「社会関係資本」の支えを必要としている。
という時代の中で
P285共同体と共同体を繋ぐランダムな線こそが、徹底した民主主義にとっての鍵である。そのランダムな線に対応する現実の実践を我々は、すでに、いくつか見出すことができる。(略)
著者の見識はこの事はパットナムを超えた射程を持っていると言える。
別の話として、社会科学の分野で日本の論文が世界に認められているのか質問がある。
あえて著者に異論を唱えるとすれば
著者が理想の時代と名付けた時代は理想というより「無我夢中」だけのことであって、
目標はあったが、キャッチアップでき切らなかった時代なのではないだろうか?
後だしジャンケンは読者の特権である。
この本がここまで時を乗り越えてしまった為にお付き合いいただいていると納得してもらうしかない。
それでもP284にあるように、それらのどの共同体にも、外へと繋がる、外の異なる共同体(のメンバー)と繋がる関係のルートをいくつか持っているとしよう。
そうすれば、共同体の全体を覆う、強力な権力などなくても、何億、何十億もの人間の集合を、個人が直接に実感できる程度の隔たりの中に収めることができるのだ。
この直接の関係の上にこそ、述べてきたような活動的な民主主義を築き上げることができるのだとすれば、市民参加型でありつつ、なお広域へと広がりゆく民主主義は十分に可能だ。ということになるのではあるまいか。
発想法は今話題になっているブロックチェーンの考えに近いだろうと勝手に考えさせてもらう。
階層構造のあるシステムではない関係が提案されているとすればこの本の寿命は
まだ先になる。
(注アンダーラインは本文の引用)
信頼とは何かを考えながら、書籍を媒介にして、生涯学習が行動の糧とするような前向きな発言を心掛けています。
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