『「みんなの意見」は案外正しい著ジェームズ・スロウィッキー』を読む
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グーグルが何十億というウェブページから、探しているページをピンポイントで発見できるのも、正直な選挙結果の予測ができるのも、株式市場が機能するのも、すべて「みんなの意見」のたまものである。
多様な集団が到達する結論は、一人の専門家の意見よりも常に勝るという説を呈示し、ウェブ時代の新しいパラダイムを予見。
多くの識者に引用、推薦される。
社会人必読の話題の教科書がついに文庫化!
文庫を読んでいるので最も早く訳本が出た時を紹介しておくと2006年に角川書店から出版されたと書かれている。
平成21年(2009年)に文庫本の初版、実際に読んだのは平成30年(2018年)9版。
それだけ継続して売れているということは、その時の著者の現状分析であるとか、問題意識、あるいは解決策の提案など何かが時間のフィルターを乗り越え純化されたものがあり、凡人の頭の整理に役立つ例と言える。
例としていくつか挙げる
私にとって確認しておきたい部分の引用
(P158)信頼というコンセプトで一番重要なのは、それがある意味では基幹的で人間味のないものだという点だ。
かつて、信頼は人と人とのつながりや集団なの人間関係にもとづいていた。
よく知っている人だからとか、自分と同じ派閥の人だからとか、そういう理由から信頼が生まれていた。
(P159)信頼が抱える根本的な問題の一つに、家族や氏族、同郷といった濃い関係の信頼がないところでは生まれにくいというものがある。
だが、こうした濃い関係をたくさんの人と同時に持つ事は難しく、また多様性を嫌い、閉じた関係の課で取引を奨励するために、今日において経済社会が健全に発展するための必要な規模や幅の広さとは両立しない。
この濃い関係を「絆」と呼べば、いまいろいろなところで取り上げられてきたソーシャルキャピタルとかに置き換えることができる。
その良さを知ったうえで限界も知っておくことが豊かさにつながる。
人口が減ってゆくときに閉鎖系の組織を維持するよりも、どうしたら開放系にシフトできるかを検討すべきではないかという問題を提起してくれているのではないか?
本の中で、信頼関係の確立が資本主義の革新にあったことは間違いないと言っている。
それは搾取する、搾取されるかではなく、継続した取引をどうコストを下げてできるかを追究しているという意味で資本主義を使っている。
顔の見える人だけの人間関係から、見知らぬ国の人とも信頼関係を築く知恵を絞るのもよいのではないか。
例えば、身近な人間関係を3つのグループに分け、考えてみる。
①トップダウン形式、
②、スペシャリスト集団、
③一つの仕事をするためにばらばらな個人が集まってチームを作り仕事が終わったらみんなバラバラに戻る。
こうすると住民参加するのであればどの組織形態であれば参加したいと思うか検討することもできる。
威張っている人がいつもいる会合に出たくない
自分に特別なスキルはない
出来る事なんでもよいなら参加してもよい?
③の形態をイベントごとに担当を変えれば同じ地域でもできるので採用することもできるのではなかと考える。
地域の細かな問題を解決しながら、社会全体の大きな問題を解決する方法をいろんな形で探ってゆく。
それは目に見えない大きな集団として。
この問題は多くの人が関心をもって研究している。
例えば「信頼と裏切りの社会:著ブルース・シュナイアー」はコンピュータセキュリティをベースにして「トラスト:著レイチェル・ボッツマン」はウーバー、アリババ、エアビーアンドビーなど企業を通して新しい問題の枠造りと解決策を提示している。
集団の分析なのでこの本にも出てくる市場におけるバブルと暴動については「ティピングポイント著マルコム・グラッドウェル」の社会伝染に関与する、メイヴン,コネクター、セールスマンの役割をはたす人をタイプに分類するとわかりやすい。
自分がどんなタイプなのか、知人がどんなタイプなのかを知るだけでも人間関係の理解が深まる。
著者のスタンス
引用(P330)の健全な民主主義は、社会契約の基礎である歩み寄りという美徳、それに変化という美徳がもたらす。
民主主義のもとに生まれたんみんなの意見に集団の知恵が現れないことがある。
けれど、民主的にみんなの意見を聞くところに手段の知恵が現れているのである。
とある
この本が生まれて30年弱、問題が生まれていて、「民主主義の死に方:著ステーブン・ㇾビッキー、ダニエル・ジプラット」にある「相互寛容と自制心」という柔らかいガードレールの力が弱まりつつあるという問題が顕著になってきた。
著者の意識として引用(P329)独裁政治、貴族政治、寡頭政治などのほかの政治システムの方が、民主主義よりも政策立案に優れていると考える理由もない。
また、ほかの政治システムが抱えるリスク…その中で特に問題になるのが抑止力も説明責任もない権力の行使というリスクだが…これは民主主義が抱えるリスクよりもはるかに大きい。
(P330)健全な民主主義は、社会契約の基礎である歩み寄り問い美徳、それに変化という美徳をもたらす。
民主主義の下に生まれたみんなの意見に集団の知恵が現れないこともある。
けれど、民主的にみんなの意見を聞くといことに集団の知恵が現れているのである。
多数決で物事に必要以上に白黒だけをつけたり、いまも判断材料としての情報不足だったりして、この本の書かれた時代から何が進歩しているのか問われることになる。
30年という年月は日本の失われた時代というキーワードだけでなく、何がこの30年でできるようになったのかを振り返り突き止めながら、ステップアップする材料を具体的に吟味する時なのではないかと感じる。
前回読んだ「社会学史著大澤真幸」の社会学の未来に向けての章でジャン・ボードリヤールの消費社会論。人間の内的な本質を、労働を通して外化する営みとして解釈されていた「生産」ではなく商品の記号的な差異によってアイデンティティを演出する「消費」の方に、現代社会を理解する上でのポイントがある、とボードリヤールが考えたのは、社会に根本的な変質が生じた直感があったからです。
とあるように、変化していることは事実だけれども、まだその変化をまとめ切れていないのが現実である。
変化を感じるまたは変化を作ってゆくパーツを、いろんな人がいろんな形で表現してきた。
そろそろまとまった姿が見えてきてもよいような感じがする。
今回の本の最後にある健全な民主主義にはクエスチョンマークがついて「民主主義の死に方著ステーブン・レビツキー,ダニエル・ジブラット」がある。
そこに行く前にじっくり本書にある独裁政治、貴族政治、寡頭政治などのほかの政治システムの方が、民主主義よりも政策立案に優れていると考える理由もない。
また、ほかの政治システムが抱えるリスク…その中で特に問題になるのが抑止力も説明責任もない権力の行使というリスクだが…これは民主主義が抱えるリスクよりもはるかに大きい。
を噛みしめておきたい
信頼とは何かを考えながら、書籍を媒介にして、生涯学習が行動の糧とするような前向きな発言を心掛けています。
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