「社会学史 著大澤真幸」を読む

帯の広告表

本物の教養が頭にしみこむ

「社会学はもちろん、その周辺の学問を理解するためには、どうしても、社会学自然体を知っておく必要があります。

それなのに、なぜか社会学史の本がほとんどないのが現状です。

だから、この仕事に私は、強い社会的な使命感を持っています。」…大澤真幸

 

帯の広告裏

マルクスもフロイトも社会学者だった!

本書の内容及び登場する主な巨人たち

序 社会学に固有の主題

Ⅰ 社会学の誕生―近代の自己意識として

1.   古代社会の理論 アリストテレス

2.   社会契約の思想 社会学前夜 グロティウウス、パスカル、ホッブス、ロック、ルソー、スミス

3.   社会学の誕生 コント、スペンサー

4.   マルクス…宗教としての資本主義 エンゲルス、カント、フォイエルバッハ、ヘーゲル、フィヒテ

Ⅱ 社会の発見

1.   フロイト…見式の発見

2.   デュルケーム…相互行為としての社会

3.   ウェーバー…合理化の逆説

Ⅲ システムと意味

1.   パーソンズ…機能主義の定式化

2.   (意味)の社会学 ミード、シュルツ、ブルーマー、ガーフィンケル、ゴフマン、ベッカー、

3.   意味構成的なシステムの理論 ルーマンとフーコー、レヴィ=ストロース、デリダ、プルデュ―、ハーバーマス

4.   社会学の未来に向けて ボードヤール、リオタール、デキンズ,パウマン、トッド、メイヤスー

 

著者のこの本を書くにあたっての基本的スタンス2点

①社会学はもちろん、その周辺の学問を理解するためには、どうしても社会学史全体を知っておく必要があります。

それなのに、なぜか、社会学史の本がほとんどないのが現状です。

だから、この仕事に私は、強い社会的な使命感を持っています。(帯のPR文、同じ意味のことがP631終わりににある)

②学者と学説を時系列に沿って羅列し、解説するだけの本は退屈で通読できない。

だが、出来上がった概念をタダ紹介するのではなく、その概念を生み出さざるをえなかった必然性に立ち返るようにして説明するならば、知は、その本来の楽しさを取り戻す(P631)

(P19)社会秩序がいかにして可能かということを問い始めたとき、社会学は統一性と普遍性を獲得する事になるわけです

 

と書かれているように著者の意思が本全体を包み込んでいて、成功している本。

 

こういった著者の知識と価値観を表現する大型の本に爪を立てようとするのは疲れる。

 

著者は、(以降アンダーライン部分は引用)

著者の呼ぶツインピークス(ルーマンとフーコー)に関して

著者は彼らの理論が今のところ社会学理論の頂点だと考えている。

コミュ二ケーションや言説は、それ自体ではこうした問題をどうしても解決できない。

そのたりない部分を助けてくれるもの、それが、ここで「超越的な契機」と呼んだ、社会システムや権力です。

ルーマンもフーコーもこのような論理の筋で、社会というものを理解し、説明しようとしています。(p608)

ここを著者の考える大きなポイントと捉えました。

 

社会学の潮流を紹介しながら、ウルリッヒ・ベック「リスク社会」、アントニオ・ネグリ・マイケル・ハート「帝国」他を指し、以上はすべて、近代社会に生じたほぼ同じ大きな転換を、異なるところに力点を置いて描いたものだった、と解釈できるでしょう。

どの議論も、変化の全体をとらえきれてはいない。しかし、まさに変化しつつあるということについては,合意があるように見えます。(P619)

 

社会学史という大きなテーマをこれだけ解りやすくまとめて頂けると御礼しかない訳です。

それでもあえて爪痕を残すとすれば

著者が一人でこうした知の体系を纏められた人に対して感じることは、直接講義を受けたり、話を聞いたり、たまには質問もできて・・・・・という関係ではない、書籍を通じてのみ、一方通行の人をどれ位の深さで信頼するかのかという問題を抱えてしまいます。

問題点を共有するのと違いその人の人格というか価値観を吸収するわけですから答えは出ません。。

暫定的な方法として、いつか他の誰かの社会学史の進歩する力を借りて、著者を相対化することで再度著者の真価をを確かめるしかありません。(それが10年後なのかもしれません)

 

そして、単一の統一人格という幻想にとらわれないで

人をモジュール化する、ないしは心をモジュールすることで書籍の内容を自分のうちに取り入れることが可能になるのではないか?と考えてもいます。

 

別の見方に飛び恐縮ですが、だいぶ前に紹介している著者と読者の責任は、著者3割、読者3割、制作販売3割、残り1割は偶然と松岡正剛氏が言っています。

明らかにこの本は著者と制作販売の責任を果たしているおすすめの本になります。。

今、著者を対比するような社会学史の対象を持ち合わせていないので本棚の「社会心理学講義著小坂井敏晶」の隣にいてもらうことにします。(深い意味はありません)

 

心に残るキーワード:

Ø  規律訓練型の権力となり社会全体に浸透したというのがフーコーの説です。

Ø  ハーバーマスは、社会は人間から成り立つと考えている。

Ø  ルーマンによれば社会の要素は人間ではない。それでは何か「コミュニケーション」です。

Ø  コミュニケーションコミニュニケートし合うシステムこそが、「社会」です。

Ø  ボードリヤールが考えたのは、社会に根本的な変質が生じたという直感があったからです。

Ø  二重の偶有性

信頼とは何かを考えながら、書籍を媒介にして、生涯学習が行動の糧とするような前向きな発言を心掛けています。

 

にほんブログ村 本ブログへ

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

にほんブログ村