「自由の秩序」を読む  

リベラリズムの法哲学講義     著 井上達夫

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自由を活かす秩序とは?

自由を鍛える秩序とは?

井上教授のリベラリズム白熱講義!

裏表紙の文

リベラリズムや自由が危機に瀕しているといわれるいま、「自由」とは何かを理解する為には自由を可能にする原理と制度構想を考えなくてはならない。

という立場から著者は「自由の秩序」について講義する。

「自由」や「レベラリズム」のほう哲学的意味とは何か?

「自由」と「正義」のかかわりとは?井上教授の熱血抗議に対し、聴講生たちが具体的な事例も交えた鋭い質問で迫る。

対話形式の刺激的な講義も収載。

以上が広告です。

著者の講義は要領よくまとめられていている事は言うまでもありません。

講義案内の一部を引用すると『井上氏はリベラリズムとは何かを的確に理解するためには「自由とは何か」を論じるだけではだめで、自由を規律することによって自由を可能にする法哲学的原理と制度構想、すなわち「自由の秩序」を論じなくてはならない』と考えているので講義名は『リベラリズムの法哲学』ですが、授業題目は『自由の秩序とさせていただきます』…です。

 

岩波現代文庫で200頁弱の薄い本ですが、一つ一つが重く噛締めながら読み進める必要があり中身が濃いです

「自由の秩序」を哲学すると題された7日間の講義(工夫された内容で日目は討議形式になっています)

 

岩波文庫版へのあとがきで

引用

著者の法哲学的立場は2つの命題からなる。

1.      リベラリズムの根本理念は自由ではなく、自由を律する正義である。

2.      リベラリズムの制度構想としての権力分立は、立法・行政・司法という国家の異なった権力作用を抑制均衡させる「三権分立」に止まらず、国家・市場・共同体という対立競合する秩序メカニズムの間の抑制均衡を図る「秩序のトゥリアーデ」へ発展させられるべきである。

についての理解を深めるための内容を工夫された構成となっている。

 

工夫とは講義案内は著者の架空の掲示であり講義も討議も虚構とネタバラシをしている。

マイケル・サンデルにしても、マルクス・ガブリエルにしても、対話形式の講義を映像化している。

日本も成熟した(年寄りの多い)国になったのだからこんな講義を現実の市民講座として現実化されることを期待したい。

生涯学習という言葉もあるのでビジネスチャンスととらえて

出版社や、本屋さん、何とかプロダクション、市民講座を主宰している団体、どこでもいいのですが何とかなりませんか?

講義をコーディネートする、映像化する、そして収録したDVD流通させる採算取れませんか?

超大物だけがほんの少しの量、NHKが全国放送で流したものをアーカイブ化するだけでなく、もっと小さなスケールで出来ませんか?

山を高くするにはすそ野を広げる、細分化されたニーズには多様な提案が欠かせませんとか言いませんか?

最後に

俗諺だそうですが「他人の痛みは百年でも我慢できる」が記憶に残ったという一文です。

著者井上達夫でも工夫を必要と考えたように著者と読者の溝は深く、あいだを取り持つ人の役割は思ったより大きいのではないかというのがこの本が与えてくれた、目的外の収穫です。

 

 

 

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