「情報生産
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情報生産者になる (ちくま新書)
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| 情報生産者になる (ちくま新書) [ 上野 千鶴子 ]
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者になる:上野千鶴子著」を読む
内容を案内している帯ナシ。
表紙に小さく…そこで重視してきたのは「情報生産者」になるということです。高等教育以上の段階ではもはや勉強(しいてつとめる)ではなく学問(まなんで問う)ことが必要です。つまり正解のある問いではなく、まだ答えのない問いを立てて、自らその問いに応えなければなりません。それが研究というものです。
この小さな抜粋に引っかかってしまいました。
中身は著者があとがきに「研究者になるには」「論文の書き方」でもよかったかもしれませんが」と書いている通り、論文に正面から向き合う院の学生や、少なくも論文作成に関心をもっている人だけでなく読者層を広げようと意識した題名は、少しは売り上げに貢献しているのではないでしょうか。
内容は<濃い>の一言です
文系の、特に専門の社会学論文作成用ノウハウが具体的に書かれているのでチェック表として使えそうです。
何より良いのは著者の指導してきたゼミの内容と方針が、ぶれずに続いてきたことが熱く書かれていて、こんなゼミで学びたかったと思わせてくれる一冊です。
ただし相当な努力が求められそうです。
気になることが2点あります。
第1点
国会での議論は成り立っていませんね「今の答は、あなたの質問に答えた事になりますか?」という問いを国会討論でこそ、いちいち確認して欲しいものです。あの時間稼ぎのすれ違いやはぐらかしを、子どもたちが議論だと呼ぶのは困りものです」P32
「それにしても国権の最高機関である国会には議長がいますが、その席についたひとが、こういう役割をはたしているとはとうてい思えませんね.やれやれ」p302
100%同感です。この本の本論ではないことを十分承知しているつもりですが、ここを何とかする人が必要ですね。最近の国会答のはぐらかしは、まともに議論しないためのテクニックなんでしょうが、議論を深める方向に持ってかなければならないと意見するディベート方法?説得の技法?をコーディネーターにも質問者に伝授してくれないかと期待しています。(ここではだれが?が抜けています)
第2点「私はこういう体面的な小集団による教育力を高く評価していますから、少人数によるゼミナール方式が大学教育のエッセンスであり、これがeラーニングに取って代わることはないと確信しています。」p358と述べられています。
研究者の最先端を行く教育と、「知」を社会で共有するための教育というか学習には違いがあってよいのではないか、もう少し言うとeラーニングの技術がもっと上がってよいのではないかと考えるわけです。
その理由は今回挙げた第一の問題点。
国会に代表される問題を解決するのは誰なんでしょうか?研究者には問題点も解決策もあるのだとしたら研究者の興味から外れるわけです。でも問題は解決されていない訳です。
ティッピング・ポイントで・マルコム・グラットウェルの言う人の役割分担が必要で、コネクターやメイブンやセールスマンが必要ということでしょうか?
「志」を持つボランティアを育てるというか、継続して声を上げてゆく方法を練り上げてゆく必要があるのではないでしょうか。
2点が、私がこの本から得たノイズです。
読後、何とか研究計画書らしきものだけでも挑戦してみたいという気にさせる、そんな読者の対象を絞った良い内容でした。
オマケですが、「私の知的生産技術」、「続私の生産技術」を若い時に読みました。サラリーマンとしての生活が地について少し余裕が出てきたころと思います。
そんな人も世の中に入るのではないでしょうか。
この2冊がブックオフに行っていないのは奇跡です。
