2冊の本の1
やばい経済学(スティーブン・D・レヴィットスティーブン・J・ダブナー共著 2006年発売 東洋経済新報社)
まっとうな経済学(ティム・ハーフォード著 2006年発売 ランダムハウス講談社)
共に1800円税別
先日ブログに乗せた世界の経済学50の名著の48番目にある「やばい経済学」
例によって表紙の裏の売りの文章
銃とプールどっちが危ない?
相撲の力士は八百長なんてしていない?
学校の先生はインチキなんかしていない?
ヤクの売人はママと住んでいるのはなぜ?
若手経済学者のホープが日常生活から裏社会まで、ユニークな分析で通念をひっくり返します。
アメリカに経済学ブームを引き起こした、新しい経済学の書、待望の翻訳。
人間はインセンティブ次第でインチキだっておこなうということを逆手にとって、社会の道徳規範を変えるには何世代もかかるが、インセンティブを変えることで社会的にこのかしい結果を得るための手っ取り早い方法になりえることを提案している
個人的にここを重要視していて、インセンティブを呈示することで、社会的なルールを守ることは結構容易に出来るのではないかと密かに考えている。
さてもう一冊の「まっとうな経済学」の売り文句
賢い消費者、損しない投資家、黒字国家、それにはみんな訳があった。
「読者を夢中にさせる一冊!」スティーブン・D・レヴィット『やばい経済学」著者
経済理論を駆使して、毎日の買い物、投資家心理、国家財政まで、実体経済を動かす仕組みを根底から解き明かす!と推薦しているような帯がついています。
訳者のあとがきで
本書を読んで、経済学は必ずしも合理性一辺倒ではなく、意外と人間的なのだと思った方も多いのではないだろうか。
経済を動かすのは結局「人」であり、人を動かすのは「心」である。
市井に身を置く覆面経済学者が語る物語はどれも人間臭いと振り返っている。
素人考えですが行動経済学が一般に認められる前の時代を感じます。
もう10年以上も前の読書なので身についている事と忘れてしまった事が判別できません。
それでもその時の感触が一つあります。
それはこの2冊を一緒に購入した直後、「これは本屋の販促的な並べ方に引っかかったかな?」
そんな2冊を並べてみました。
どちらもこの時代を象徴していて、具体例を示しての「そーなんだ!」という理解を超えた共感まで得られる部分があると思います。
まっとうな経済学については帯に頼るよりも内容の補足が必要と考えて、補足します。
P239で20世紀の経済学に最も大きな影響を与えた経済学者、ジョン・メイナード・ケインズは、経済学者が理論構築下ではなくなり、「むしろ歯医者のようなもの」になって、日々の相談に乗り、率直な助言を与えられるようになる日を待ち望んでいた。とあるように、現実の問題解決を目指してはいるがやばい経済学が取り上げているテーマとはちょっと違い、稀少性による価格設定や入札による稀少性評価、医療制度、中古車のいわゆるレモン問題と言われる情報の非対称佐栄がもたらす非効率、貧しい国はそのまま貧しいのには理由があって、権力者、官僚に国をよくするためのインセンティブがうまく働かず、賄賂をとるほうが権力者・官僚にとって有効だとしている。
今問題になっている貿易に関しては「輸入禁止政策」は「輸出禁止」政策でもある。という、<ラーナーの定義>により開放型の自由主義経済が閉鎖型の経済よりもどれ程優れているか想像がつく事と説明している。
極論的に言えば、現代版「機械破壊運動」と言える。
政府はなぜ国民生活に悪影響を与える関税をなくさないのだろう。
これは国際的に孤立することが政情の安定につながるからだと考えられる。
こうした安定政権についての記述は国際社会ののけ者扱いされているミャンマーや北朝鮮は苛立たしいまでの安定政権を誇ると記述している。
中国に関して、大躍進の分析として計画経済から脱皮し市場システムを取り入れた。
そのことにより無駄が減り、中国の顧客が受けとる価値は高まり、世界市場の有望なプレイヤーになった。
稀少性は失せた。
中国が自己完結型の経済を築かず、世界貿易を行った利点3つ
①玩具、靴、衣服などの労働集約財の世界市場を開拓できた
②そうした輸出で獲得した外貨を原料と技術に投資して、中国経済の発展が促進された
③外国からの企業を誘致して、生産や経営に関する近代的な技術を学べた
全体を見回すと、筆者は社会システムにフォーカスを与えている。
エピローグで豊かな国や急成長している国は、本書で学んだ経済学の基本原理を取り入れている。
稀少性の力や腐敗と戦う、外部性を解消する、情報を最大限引き出す。
誘引のゆがみを正す。
他国との関係を築く。そして何よりも重要なこととして、市場原理を取り入れる。
市場原理を取り入れれば、こうした取り組みを同時に進めることができる。
貧困は人の命を奪うだけでなく、自分自身の人生における重大な選択をする自由と権利も奪い去る。
とまとめてみました。
個人的な感想として
理論構築ではなく、個人の行動分析でもない、理論と個人の間のシステムにフォーカスを当てている。
貧困からの脱出が以上の事から、やばい経済学とまっとうな経済学は併せて読むメリットがある。
出版社が共同で販促を書けたのか、たまたま書棚に並んでおかれただけなのか、関係者が明らかにしてくれることがあればぜひ聞いてみたい。
2006年に発売された本なのでここで話は終わっているが、この先、国家資本主義と呼ばれるような、権力者を選挙で選べなくても成功するシステムについて、経済学で答を持っているのだろうか?
市場主義とは信頼関係つまり平等な取引を基盤としているシステムであるとすれば2019年には2006年には見えなかった次の問題が定義されているのではないかと愚行するモノであります。
著者の言う自分自身の人生における重大な選択をする自由と権利は貧困だけが奪うにか?という疑問です。
お断り:検索していたら同じテーマで書かれた人がおられることを確認しました。
後追いになってしまいますが、二番煎じとしてあえてこのまま残します。
共感できる先人がおられることをありがたく思います。
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