残しておきたい文

司馬遼太郎著:歴史の舞台pp91-92

漢民族や私どもは、農民文化の末裔なのである。

農民というのは先祖代々、同じ地面の上をはがしては種苗をそだて、

水をやり、また水をおとし,草をむしり、虫を追い,間引きをし,

山に行って堆肥のもとになる落ち葉や草をとり、夜は縄を内、むしろをつくり、

あるいは他家の田植えを共同で行い、余暇には村の調和のために、

冠婚葬祭などの寄り合いをして人々の調和のために、

冠婚葬祭などの寄り合いをして人々の調和の気遣いをするといったふうに、誠にこまごまとした労働、所作、心づかい、気くばりの、気の遠くなるほどの集積なのである。

農業時代の後にやってくる商業、航海の文化も、農村文化の枝として出ていったものであり、さらにその後にやってくる工業社会のⓑンカモ、根底には農村文化で培われたものである。

それに対し、遊牧の分化は、あくまでも風と光の中にある

 

P271:風土とは容易に崩れないものだと思えてきたりもする。

 

ソーシャル・キャピタルについて深く付き合ってゆこうと考えている時、これ以上日本人の特徴を的確に表現した文章があるだろうかと読み直して、改めてその力を感じる。

ここに戦後の民主主義が浸透していると言っても、どれほどの重さがあるのか?

と、何もかもを、押し流してしまう力を感じながら、逆らってみようと決意させる名文です。