救急隊員の方は脳梗塞を疑っているようでした。とりあえず脳神経科がある病院に向かいます、と。コロナウイルス流行の中、何カ所かの病院に満床で断られたのち、受け入れてくださったA病院に到着します。
ストレッチャーに乗せられた夫は大きな扉の向こうへ。私は廊下のベンチで待ちます。消灯している土曜の暗い病院の片隅でひとりじっと待機です。10分が1時間くらいに感じます。着の身着のまま薄着で出てきたため体が冷えきり自販機でTシャツを買ってもぞもぞと着こみました。
夫は意識がある状態で各種検査をしている模様でした。ストレッチャーに乗って出て行き帰ってきてまた大きな扉の中に入っていきました。
時計を見ると午後6時です。医師らしき白衣の男性が2名やってきました。「ご家族の方ですか?」と。「私は内科医なんですが、ご主人様は大動脈解離という病気を発症されています」「手術になる可能性があります」「こちらの病院では手術が出来ないのでこれから隣の病院に移動します」
ピリッとしたただならぬ空気に背筋がゾッとします。
夫は痛みがおさまってきたのか多少会話ができる状態に。隣の病院に行くと聞いて歩き出そうとして看護師さんに止められました。そしてストレッチャーで再度救急車に乗り隣の病院へ。とっぷりと陽が落ちてあたりは真っ暗になりました。
