小暮写真館小説に登場する人物が温かい。主人公、家族、周りの人々それぞれが心に傷を持っている。けれど、その事に気付いている人もいれば気づかないように蓋をしている人もいる。切ない中にも、温かさがあり読みやすい。
悪意物語の早い段階で犯人がわかる展開。視点が犯人、加賀刑事と色々な点から語られていく。あらすじ・作家の殺人事件を皮切りに物語が始まる。死体の第一発見者が被疑者になり、その動機を巡って事実と巧妙に仕組まれた表向きの動機が明らかになっていく。タイトルにあるように色々な人の悪意が散りばめられています。小説を読んでいて凄いと感じるのが、それぞれ性格の違う登場人物の心情や性格を作り上げていること。
カッコウの卵は誰のもの作品の中でも触れていますが、カッコウは、卵を他の鳥の巣に産み元々の卵は残酷なことに落としてしまうんです。それにしても…複雑に絡み合っていてもしかして…?と思ったことが覆される。真実を調べて行く描写が眼に浮かぶようです。あらすじ・優れたスポーツ選手の子どもも、遺伝的に身体的に優れて居るのではないかと研究している会社に所属しているスキー選手の出生を巡って物語が進んで行く。ひょんな事から、実の娘ではないかもしれないと気づき真相を調べていく父親と何も知らない娘。実の父親らしき男とその家族。父との生活を守るために身体能力を活かし、スキーに取り組む少年。この3つの家族が複雑に絡み合っています。