トイレへ行って戻ってきたら、





私のベッドにいるはずの

にゃんがいなかった。








にゃんは

夫の布団にのせられて。


夫に
撫でられ。


始末悪そうに
悲しい顔をしていた。









わたしを探そうとして。

足が縺れたのか、


ベッドと壁の間に落ちて
ないていたのだそうだ。









「ゴメン。ゴメンね。」
と抱きしめて。





冷たい
にゃんの肉球や
カラダのマッサージをした。



老犬のカラダ。
特に、
末端は冷たい。










以前に。

亡くなった
祖母のくちびるに
そっと紅をひいたとき。



わたしの手が
一瞬止まったのを思い出す。






祖母は。

硬く。

凍えているように冷たくて、
ああ。祖母の命はここにはもうないんだと

そう思った。








にゃんの肉球には
その冷たさが

見え隠れしてきている。








にゃんを毛布にくるんで
寝かせたまま、

お茶を飲んでいたら





自転車のブレーキの
「キキキーッ」
に近い音がした。





気のせいかな?

いや。聞こえる。






今まで聞いたことのない
にゃんの
悲痛な泣き声だった。





自力でも毛布を払いのけられずに

起き上がれないのが怖くって怖くって

だからこんな
悲痛な声で
泣いていたんだ。










ねぇ?何ができる??

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にゃんの服は
ファッションじゃなく。

もうほとんど
体毛がないんだ。








ねぇ?どうしたらいい?
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たかが犬なんだよ。


なのにこの犬を
たまらなく
だいすきなんだ。


ずっと。
長いこと。









ねぇ。どうしても。
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涙が止まらない。

止まらない。
止まらない。



いいんだ。
ちゃんとわかっては、いる。


うん。
それは
自然なことなんだ。








ベッドから落ちた老犬は。
またさらに
歩けなくなった。









お外へ連れていって、
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後ろ足を支えたまま
風を感じさせてきた。










ありがとう。
いま。
生きています。


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いまの命を


ありがとう。