近所に野良猫がいる。
メス。
アパートに住んでいる
中年の女性が
餌付けをしていて
野良猫は
何年もそこの近くにいる。
女の人は。
餌付けはできるけれど、
飼えないらしい。
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その野良猫が
子猫を産んだ。
二匹。
アパートの物置に
段ボールで小屋を作って、
女の人は
猫親子の世話をしていた。
物置の前を通ると
泣き声が聞こえる。
ミュウミュウって。
ちいさく。
たよりなく。
まだ何にも汚れていない
さえずりみたいな
遠い声。
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子猫はだんだんと大きくなって、
物置から出てくるようになり。
ある朝に。
車の下に
挟まっていた。
大きなタイヤから
小さなカラダの
半分だけが見えていた。
車は
何事もないかのように発進して。
だだっ広い駐車場に
子猫のカラダが
ベロンと残った。
夏の日差しが
いたいくらいに
照りつける。
かわいそうで
やりきれなくて
そこの
管理会社へ電話をした。
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ずいぶんとたってから、
火鋏と
ビニールを持ったひとがやってきて、
火鋏で子猫を挟んで
ビニールに放って、
持っていった。
そこにツバを吐くのは
忘れずに。
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子猫を産んだ野良猫がきらい。
餌付けをしていた
女性がきらい。
死んだ子猫を見て
かわいそうだと思った
自分のことが
だいきらい。
あのとき。
私のかわいそうには、
確かに
「嫌悪」が混じっていた。
ビニールで持っていかれて、ホッとしていた。
子猫のいのち。
子猫の死。
その亡骸。
そのままを受け止める
受け入れる。
それが出来なかった。
うまれて、
生きて
日々老いて
病気をして
死んでゆくのは
一本の線の上のことだから、
日々に悲しみや迷いがあっても
今を
確実に生きるしかない。
なのに。
まだわたしには
緩やかにそれを受け入れる覚悟が出来ていない。
幼く弱い
弱い
私の
ココロの表れ。
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死んだ子猫は
お祭りの金魚に似ている。
すくわれて、
持って帰られて、
すぐ死んじゃって、
庭に埋められる。
忘れられる。
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いやぁ。
・・・・・まだまだだなぁ。
いつか。
そのものを見て
そのものを受け入れられる
嘘つきじゃない人に
なりたい。
たくさん空気を吸って
たくさん走って
たくさん空を
見るんだよ。
子猫。
お疲れ様。
