桜の木に登っている。
まだ私はとても小さくて、
軽いから、
枝をゆさゆさと揺らしても、
先っぽの方に移動してみても、木は撓るだけで折れはしない。
桜の木の上に
私は、いる。
家には、泥酔した父がいて、
母の帰宅がいつもより15分遅いと怒鳴っては、
母のお気に入りのキレイな服を
大きな裁ちバサミで
ジョギリ、ジョギリと切っている。
私は息が吸えない。
吸ってみても
おなかの底まで、空気は入ってくれない。
桜の木の上で、
何度も何度も、大きく息を吸い込んでみる。
「お母さん、早く帰ってきて。」
「お母さん、お願い。早く。早く。お願い。」
春浅い、北からの風がビューンと吹いて、
必死でそれを掴まえようとするのだけれど、
せっかちな春風は私なんかは見向きもしないで、
ただビューンビューンとホッペを揺らしてゆく。
やっぱり私は息が吸えない。
近所の、電気会社に勤めるオジサンが
木の上の私を見つけて叫んだ。
「おーい。○○○、そんな高いところまで登ったら危ないぞー!!!」
「大丈夫ー!おじちゃん!慣れてるー!!!」
吸えない息をたくさん吐いて、
オジサンに精一杯の笑顔と元気な声で答える。
私は、
明るくて、
はきはきした、
いい子だから。
桜の枝をにつかまりながら、
どうして息って、おなかまではいらないんだろう?
どうしてお母さんは15分遅いんだろう?
どうしてキレイな服は切られてしまうんだろう?
思えば思うほど、
ますます
息ができなくなる。
おなかの底の奥に
黒い塊みたいのがあって、
新鮮な空気がどうしてもおなかの底までは入らない。
そうするうちに、
自転車で近付く母が見えてきた。
手を大きく振っている。
慌てて私は
上着の端っこで涙を拭って、
胸まで息を吸い込み、
一生懸命、笑顔で母に手を振り返す。
とても嬉しくて嬉しくて、
木を降りて、
母に飛びつくのだけれど、
そこから先が
どうしても
思い出せない。
*☆*:;;;:*☆*:;;;:
大人になっても
こんな夢を見ては、
泣き叫びながら飛び起きる。
今考えてみれば
誰も悪くはないし、
もう
誰のせいでもない。
夫婦にも家族にも
いろいろあって、
当人同士にしかわからない繊細な事情もあるから、
肉親であっても、
一概には批判は出来ない。
実際、
両親は大切で、育ててくれたことに感謝している。
・・・・それでも、
すべてを許し、
自分が許される日が
早く来ることを、
いつも私は、お空に祈っている。
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
気温は高くなりそう。
家事したら、ゆったりお散歩へ行きまぁす。
皆さんもここちよくお過ごしくださいませー(*^ー^)ノ。
きっと今日もいい日☆
