右の口角だけを上げて
ダーリンがこっちへやってくる。
口が極端に曲がった人は、統計上その大半が
「嘘をつきやすい人」
であるらしい。
あくまで「統計上」ではあるが。
ダーリンが右の口角だけをあげてこちらへやってくる。
統計上からいくと・・・・・。
これから彼は嘘を言うのだろう。
よしんば嘘ではないとしても、
覚悟は必要だ。
そう。あの時以来だ。
こんな顔を見るのは。
彼はあの時も確かこんな顔をして、
そして悠然と私を罠にはめた。
ともかく、わたしは
今、確実に、
何らかの危機にさらされているということだ。
逃げなくては。
ドアを開け飛び出して、
この場所から、
一刻も早く
早く去らなくては。
足跡はどんどん近付き、
私は言いようのない大きな不安に襲われる。
出よう。
出よう。
出よう。
それなのに
まるで何者かにすがりつかれたかのように
足が一歩も前へ出ない。
助けて。
誰か助けて。
彼は不敵な笑みを称えたまま
私に近付き、
ゆっくりとその
コトバを放つ。
「おかあさん・・・。」
・・・・やめて。
「おかあさん・・・。!あのね・・・。」
・・・・・お願い。もうやめて。
そのときだった!!!
「お母さん!あのね!キン肉マンの下の名前って「すぐる」っていうんだよーヽ(゚◇゚ )ノ!」
・°・(ノД`)・°・いやぁ。
「ばかぁぁあっっ!!言うな!言うな!言うなぁ!」
「(・∀・)は?」
「は?じゃない!ばかたれが!人間この歳になるとなぁ、一個覚える毎に以前の記憶が一個無くなるんだぁ!」
「え?あ?なに?何が(・∀・)?」
「だーかーらぁ、「キン肉すぐる」っていうお母さんにはいらない雑学がインプットされたせいで、お母さんの記憶の大切な何かがまさに今、消滅した!キン肉すぐるいらなーい!返せー!今すぐ私の大切な記憶を耳そろえてキッチリ返せーヽ(`Д´)ノ!」
「知らなぁい!そんなの(。・ε・。)!」
「知らないとはなんだぁ!メモリは有限だ!返せ私の記憶を!すぐるは返す!」
「すぐるだって立派な記憶だよぅヾ(。`Д´。)ノ!」
「こ(T▽T;)こぉらぁぁぁーーー!!」
中年夫婦キン肉バトル。
ワタクシは、
「すぐる」で
ひとつ、
大切な記憶をなくしたもよう。。。。。
なんだろうなぁ。
もぉ
「辻斬りにあった( ̄∇ ̄+)」
としか言いようがなくて。
注・上述の「あの時」とは、ダーリンが言葉巧みに
ワタクシからお金を巻き上げて、自分のゲームソフトを買った日デスタ(・∀・)/
