イギリスのニュース映像、パリのテロ現場、被害者にたむけられた花の前で、父親と息子の会話だそうです。

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Little boy explains bad guys after Paris attack at the Bataclan
https://www.youtube.com/watch?v=96b-QPJsYK4


インタビュアー:ここでテロが起きたことを知っているかい?なぜ犯人はこんなことをしたと思う?

息子:うん。彼らがとても悪い人だから。 悪い人はよくない。 そして、僕たちは引っ越さなきゃいけない。とてもとても気をつけなくちゃ。

父親:心配しなくていい。引っ越す必要はないよ。フランスは私たちのホームのままだ。

息子:でも、悪い人たちはどうするの、パパ?

父親:悪い奴は世界中にいる。悪い奴はどこにでもいるんだ。

息子:でも、悪い奴らは銃を持っている。彼らはとっても悪いから、僕たちを撃つかもしれないよ。

父親:たしかに彼らは銃を持っているかもしれない。でも、私たちには花がある。

息子:でも、花なんて何もできないよ。 あいつらは、あいつらは…

父親:これを見なさい。みんながここに、花を置いてるね。

息子:うん。

父親:この花は、銃と戦うものなんだ。

息子:花が守るの?

父親:その通り。

息子:このろうそくも?

父親:これは、亡くなった人たちを、私たちが忘れないようにするためだ。

息子:花とろうそくが、僕たちを守ってくれるの?

父親:そうだ。

インタビュアー:気分はちょっと晴れたかい?

息子:うん。

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 「この花は、銃と戦うものなんだ。 」

 この言葉、子供は「銃=テロリスト」と解釈するかもしれません。もしそうであれば、銃を使うテロリスト=悪、パリは善良な市民=被害者、という単純明快な構図が、この子供の心に刻み込まれるでしょう。
 でも世の中そんなに単純ではありません。銃を使うのはテロリストだけではありません。フランスも銃を使って人を殺しているのです。いや、フランスは銃よりもっと大量に人を殺せる爆弾を飛行機に載せて、シリアで人を殺しているのです。
 その事実を、この父親は息子に教えているのでしょうか。自分たちの殺人を棚に上げて、相手の殺人の悲惨さだけを強調して、自分たちの殺人を正当化しているように見えます。
 まるで子供を「被害者は自分だけ。悪いのはISだけ。」という思想に洗脳しているようで恐ろしいです。それは即ち「戦え。殺せ。」と言っているのと同じです。これでは報復の連鎖は永遠に止まりません。

 この子供の未来に平和な世界を実現したいと思うなら、この言葉は「銃=全ての銃を使う人たち」と解釈するべきです。ISもフランスも同じ「銃を使う人たち」なのです。
 この子供は、銃を使う全ての人たちに向けて「どっちも銃を捨てろ、対話で解決しよう。」と働きかけなければいけないのです。

 「花とろうそくが、僕たちを守ってくれるの?」→「そうだ。」

 って、カメラの前だから美談を作りたかったのか、子供の気持ちを落ち着かせるためなのか知りませんが、花は守ってくれませんよ。子供に嘘を教えてはいけないと思います。


 同じ花がシリアにもたくさんある事を、この子は知っているのでしょうか。