学校という、閉鎖的な社会で何が起こっているのか、当初は分かりにくかった詳細が、徐々に明らかになっているように感じます。

 色々な指導者と生徒の関係があって、色々な体罰があるので、全部を一律に語ることはできないと思いますが、本件の桜宮高校の体罰に関しては、どうやら「殴られていたキャプテンは何も悪いことをしていないのに殴られていた。」ということが、大きな問題ではないでしょうか。
 キャプテン自身は真面目で責任感の強い素直な生徒だったようで、つまりこれは「体罰」ではなかったのでは、と。教育の現場で指導者が生徒を殴ること=体罰=指導の一環と、思いがちですが、ちょっと違ったようです。

 では彼は何のために殴られていたのか?

 どうやら彼は「みせしめ」のために殴られていたようです。指導者は、生徒たちのモチベーションを上げるために、つまり「試合に負けたら殴られる。」という恐怖心を全員に与えるために、キャプテンに対して暴力をふるっていたようです。

 生徒たちに「キャプテンが殴られている光景を見せる」ことで、生徒たちのモチベーションを上げるという手法を使っていたのです。
 殴られるキャプテンを見た生徒たちは震え上がります。あるいは奮い立ちます。それがチーム全体に広がって、その結果チームは試合に勝つことができたと。そして「試合に勝った」という実績で指導者が評価されたと。

 キャプテン以外の生徒にしてみれば、実際には殴られていないのに、殴られたかのような疑似体験をして、モチペーションを上げてもらって、結果試合にも勝てたので、あの先生の「熱血指導」のおかげで、となります。

 でも、キャプテンの生徒は疑似体験ではなく実際に殴られたわけです。しかも自分は悪いことをしていないのに殴られるなんて、モチペーションが上がるどころではなかったでしょう。

 そして、本来なら部活を辞めるところを、彼は真面目だから辞めなかった。その指導者が、彼をキャプテンに選んだ理由は、そこにあったとしたら、恐ろしいです。

 この指導方法は、プロ等では絶対に通用しない、学校ならではの「熱血指導」だと思います。しかし、人間として、絶対にやってはいけない禁断の指導方法だと思います。やってることは単なる「いじめ」です。これは「指導」ではなく「暴力」を使った「調教」と言えるでしょう。

 クラブ活動の結果だけを見て、この指導者を支持している教職員や保護者や卒業生や在校生は、確かに感覚が狂っている。殴られる人間の痛みを感じることができない、どこか神経が麻痺している。

 この指導者はクビになって当然刑事罰を受けても良いと思います。また、学校という、この閉鎖的な社会の住民の多くが狂っているのなら、その社会は解体=廃校にしても良いと思います。

 学校をサービス業であると考えるなら、民間企業であれば営業停止です。利益を第一に考え、衛生管理をないがしろにした結果、食中毒を出した焼肉チェーンと同じだと思います。

-<以下引用>---

 昨年末、大阪市立桜宮高校のバスケ部キャプテンだった少年(17)が自殺し、亡くなる直前にバスケ部顧問である男性教諭(47)に殴られていたことが発覚。学校側もそのような行為を黙認し常態化していたことが明らかになった。

 それを受けて、ワイドショーが連日のように「体罰」を取り上げ、スタジオではコメンテーターがその是非を論じているのだが、個人的にはどうにもしっくりきていない。なぜかというと、この教諭がやったことは「体罰」ではないからだ。

 必要な指導だった、とか言いたいわけではない。

 報道を見る限り、この少年はなにも“問題行動”をしていない。キャプテンとして部員を引っ張るリーダーであって、無免許でバイクに乗り停学中の部員が、授業についていけるようなフォローまでしていた。むしろ優等生であった彼を殴ることを「罰」とは呼ばない。

 試合でのミスを言いがかりに拳を振り上げる。これはもはや「いじめ」だ。しかも、本人が「他の部員が同じことをしていたのに殴られないのに、自分だけ殴られる」と両親に苦悩を打ち明けていたことからうかがえるのは、「見せしめ」にされていたという事実だ。

 いや、体育科の存在感がある高校で、長くても10年で異動というところ、15年も居座っていた日体大出スポーツエリート教諭の権力を考えれば、「公開処刑」と言ったほうが正確だろう。

 それはこの教諭本人の言葉からもよく分かる。教育委員会の調査で、彼は「強いチームをつくるためには体罰も必要」なんて言って、世間からさらなる批判を浴びた。

 これは彼があまり日本語を知らないがゆえの誤解で、体罰を「公開処刑」に置き換えてみると何を言わんとしているのかよく分かる。それは「強い軍隊」をつくる秘訣だからだ。

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1301/15/news022.html