捕鯨やイルカ漁に反対する意見があります。主に環境保護団体ですが、彼らは環境保護を主張しているにもかかわらず、「自然」というものに対する理解が、あまりに乏しすぎると思います。

 彼らは「人間は自然の中で生きていて、人間も自然の一部だ。」ということを知らない。彼らは「人間が生きるために必要な食べ物は、本来自然から与えられる物だ。」ということに気付いていない。彼らは「人間の食べ物は全て人間が育てて作るべき物だ。」と思い込んでいる。
 それは人間の思い上がりであり、大いなる奢りです。自然に対する敬意が足りない人間の考えであり、そんな人間が環境保護を唱えること自体ちゃんちゃらおかしいです。

 魚を捕って食べることや、狩りをして食べることは、野蛮と言えば野蛮ですが、それは人間が生きる姿であり、それを否定することは人間そのものを否定することになる。歪んだ文明至上主義、人権侵害だ。

 21世紀の今もジャングルの中で狩りをして裸で暮らしている人たちは大勢います。もし文明社会に生きる人間が、ジャングルで生きる未開の彼らに、文明社会で作った食べ物を与えて「これを食べなさい。そして、そんな野蛮な狩りは止めなさい。」と言ったとしたら、それは一見親切のように見えるが、実は文明社会の価値観を一方的に押しつけている、単なるワガママにすぎない。それこそ粗雑で野蛮な行為だ。
 もし未開の彼らが「分かりました。これからは文明社会から与えられた食べ物を食べて生きていきます。」と言ったら、その文明社会の人間は未来永劫食べ物を与え続けるのか。それは単に文明社会の人間が未開の彼らを支配しただけ。未開の彼らが自分の力で生きることを放棄しただけ。非常に不自然で不健全で、間違った行為だと思う。
 では未開の彼ら自身が文明を身につけて、文明社会の食べ物を作るようになればいいのか?と言っても、話はそんな単純ではない。狩りを止めるために農耕を始めようにも、そもそも農耕はその土地の地質や気候や人間の気質から自然と発生するものなので、その土地に農耕が根付くなら、とっくに根付いているはずです。自然に逆らってまで無理やり農耕を始めるのは不合理であり、文明社会の人間の「農耕が正しい人間のあり方である」という偏向した考えです。そんな農耕は上手くいかないでしょう。
 もし未開の彼ら自身の選択で農耕を始めて、文明社会の先輩が助けてあげて、その結果、農耕が根付いて、未開の彼らの生活に狩りが必要なくなって、もし彼らが狩りを止めたのなら、それはそれで自然な流れです。が、必要はなくなったけど相変わらず狩りを続けたとしても、それも普通の流れです。何故なら、彼らにとって「狩り」は「食べること」即ち「生きること」だから。
 そんな彼らに「君たち、もう必要なくなったんだから、狩りは止めなさい。」と言うのは、粗雑で野蛮な行為だと思います。

 さて、日本のイルカ漁は縄文時代からずっと続いています。イルカは日本の海沿いで暮らす人たちの伝統的な食べ物です。これを文明社会の価値観で「野蛮だ」と否定するのは粗雑で野蛮な行為です。
 ところが、日本の場合、イルカを食べて生きている日本人が居る一方で、別の日本人が文明をどんどん追求し、トヨタだのパナソニックだの今や日本は文明社会の最先端の国になっています。イルカ漁をしてきた未開の人たちも、文明社会の日本人が作った食べ物だけを食べて生きていける社会になりました。そんな日本でイルカを食べて生きていた人たちの末裔が、今でもイルカを食べている、というだけのことです。
 その事実を知って世界が驚くのは問題ないですが、太地町の人たちに「もうイルカを食べる必要はなくなったんだから、食べるのを止めなさい。」と言うのは、粗雑で野蛮な行為だと思います。

 ちなみに、イルカやクジラの場合は、知能が高いからという理由で食べることに反対しているようですが、それは単なる個人的な感覚だと思います。食べるのに知能の高さは関係あるのでしょうか。
 賢さなんて固体差があるもので、賢い牛が居るかもしれないと考えたら、牛も食べられなくなりますよ。また乱暴な言い方をすれば、人間も知能が乏しい知的障害者なら食べてもいいことになりませんか。
 生き物の賢さの個体差は考えないのでしょうか。イルカは一律賢くて、牛は一律バカで、人間は一律賢いという考え方でしょうか。そういう決めつけは、白人は一律賢い、黒人は一律バカ、みたいな決めつけに通じてるような気がして、あまり好きではありませんが。

 誰かが「イルカは一律知能が高いから食べたくない。」と言うなら、それはその人の個人的な感覚ですから、食べなくていいと思います。僕はその人に無理やり食べさせようとは思いません。だけど、その人の個人的な感覚を、他人に強要してはいけないと思います。
 僕の個人的な感覚では、食べるのに知能は関係ありません。僕は牛は一律バカとは思いませんが、賢い牛が居たとしても気にしません。美味しくいただきます。

 テレビで「目がある魚は食べたくない。こっちを見てるようでイヤだ。」と言っている人を見たことがあります。その感覚は分かるような気がしますが、僕は魚を美味しくいただきます。


-<以下引用>-----

捕鯨:和歌山・太地町漁協に「殺す」と脅迫状 

 今月から鯨類追い込み網漁を始めた和歌山県太地町漁協に、日本語と英語で「殺す」などと書かれた脅迫状が届いていたことが分かった。県警が脅迫事件として捜査している。

 同漁協によると、脅迫状が届いたのは14日。封筒にA4判の紙2枚が入っており、香港の消印があった。差出人の名前はなかった。紙は、インターネットの動画サイトの画面を印刷したとみられ、日本語で「殺す」、英語で「KILL」などと書かれていた。漁協職員の姿が映っており、首の部分にカッターのようなもので切り込みが入っていた。同漁協は15日、新宮署に被害届を提出。「これまでも漁への抗議文が届いたことはあったが、今回は過激で気持ちが悪い」としている。

 同町では、毎年9月から、バンドウイルカなどの追い込み網漁が解禁される。漁を批判的に描いた米ドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」が公開された昨夏以降、反捕鯨団体の妨害行為が相次いでおり、県警は警戒を強めている。【藤顕一郎、御園生枝里】

毎日新聞 2011年9月17日 12時20分(最終更新 9月17日 12時27分)


http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110917k0000e040057000c.html