昨年、ひふみんこと加藤一二三先生の現役生活から引退までのドキュメンタリー番組を見せていただきまして感銘を受けまして、それから少しずつ先生の番組や動画を観せていただきまして、なんとご誠実で嘘が無い方なのだろう、と。現役中も、現役を退いた今も変わらず全力で日々過ごしておられるお姿にどんどん魅せられていきました。そして、今月から半年間、月に一回、先生の将棋教室で受講させていただくことになりました。また、今日はちょうど先生の講演会があるということで、西新宿の新宿住友ビルの中にあります、朝日カルチャーセンター新宿教室へ。

 

 

そこでは実にさまざまな教室があって、私の好きな音楽や、朗読などもあり、フライヤーをいくつかいただきました。

 

先生の講演される教室に入りますと係の方から質問用紙を渡され、先生に聞いてみたいことがありましたら

記入を、とのこと。昨日のニコ生の解説時に、羽生竜王による4八銀の手に先生が大変大きなリアクションをされておられた理由や背景をお聞きしたかったこと、そして人生の窮地に立たされたことがおありなのか、というのが質問でした(講演中、応えてくださいました。どうもありがとうございました。)

 

聞き手は朝日新聞記者の山口進氏でした。二人とも定刻の時間に入室&着席され、山口氏が受講者の質問を読み上げていき、それに先生がお話されるという形式でした。時間は一時間半でしたが、予定の時間を超える講演でした。先生は目の前に用意された飲み物に一切手をつけられずに、物凄い集中力でお話くださいました。

 

最初は、名人とは、ということを名人の歴史からわかりやすく説明くださり、昨日の佐藤天彦名人vs羽生善治竜王の対局について、それから今後の展望などを。それから先生ご自身の棋士をめざすきっかけなど、大変興味深いエピソードを披露してくださいました。そして、ユーモアも交えられてのお話で時折、受講者から笑いもおきたりして、それは先生が受講者の緊張を解かれようとしてくださってのことだと思いました。そして、ご自身の棋士人生でのトリガーとなった対局について、そして、藤井聡太六段についても先生の率直なお話を聞かせていただけました。

 

そして、先生はキリスト教の洗礼を受けられたこともあってか、理性、意思、真理、探究、忍耐、ということにとても重きを置いておられるように今日のお話から印象を受けました。「原因と結果があきらかにわかるようなものは止める(狭義的に言えば、英語だとpickyにならない、ってことなのかなぁ、と勝手に解釈しました)」 「どんな状況におかれたとしても、柔和な精神と礼儀は失わない。」という言葉が印象深かったです。

 

後半お話くださいました、人間関係についてのアドバイス、そして病に対する先生のお考え、この二つ(先生のお言葉があまりに素敵過ぎてシェアするのはちょっと勿体無さ過ぎて割愛させていただきます。)に、先生から頭をど突かれたかのようで、自省しながら聴かせていただいたのでした。そう、私に今、一番足らないところです。

 

先生のお話の口調はとても音楽的で、拝聴していてとても心地よいのです。楽譜におこしてみるとわかると思いますが、シンコペーションやスタッカートや変拍子などが入っていてとてもリズミカルなのです。一時間半超えでしたが、もっともっと聞かせていただきたかったと思いました。

 

先生からたくさんの大切な宝物をいっぱいいただいたような感覚でした。また是非このような講演をしていただけたら、と思いますし、多くの方たちに聞いていただきたいと思いました。どうもありがとうございました!