何垢すり?とんでもない。
それはく大事にしたものサ。

それから此彫物の見せ場だ。
先づ第唱お祭。
これが又面白いや。
霊岸島のお祭りには能く落す語家のいふ様に、三人つづきの彫物が出たつて
いふが嘘じやアネエ。

それに其姿が面白い。
花笠を冠つて縮緬のふんどしを〆て、大手を振つて歩るくんだが首っ玉へ揃の衣装を
畳んで結はへて歩るくなんザァ滑稽極るものサ。
それから喧嘩の時ア、先つ第一片肌ぬぎで彫ものを見せる。
湯屋に行きア先づ板の間ヘドッカとあぐらをかいて暫らく空うそぶいて
背中の自慢をしたものサ。