今回は路面電車、低床電車の雑学!

 20世紀末以降バリアフリーの流れで日本各地の路面電車に導入されているいわゆる低床電車。

 先陣を切って導入されたのが熊本市電の9700形、ドイツのブレーメン形と呼ばれる車両で日本の新潟鐵工所(現・新潟トランシス)とドイツのメーカーによる共同開発で1997年にデビュー。次いで1999年に広島電鉄が5000形というこちらもドイツのシーメンス社で製造された車両を導入。しかし同形式は部品調達のコストや時間がかかるという難点があり、現在稼働しているのは3編成のみで他は部品取りなどで運用から外れている。その次に登場したのが名鉄モ800形、部分低床のボギー車ではあるが日本初の国産低床車となった。だが2005年岐阜県にある名鉄600V線区が全廃。3両中801は愛知の豊橋鉄道、802・803は福井の福井鉄道へ譲渡。が福井では収容力不足を露呈、豊橋では井原の急カーブを曲がれないという状況で冬の時代を送っていた。しかし豊橋については井原カーブ対応工事を実施。これにより同カーブに対応可能となり、生き別れとなった2両も豊橋に合流。同様の改造を受け、現在は3両仲良く豊橋で活躍している。

 以上の3形式が20世紀に登場した低床車。そして21世紀に入り全国各地に低床路面電車が投入されるわけだが、ここからは21世紀以降国内に投入されている大まかに言えば主に3パターンの低床車をご紹介(北から順)。

~ブレーメン形~

・宇都宮ライトレールHU300形(2021年、栃木)

・富山ライトレール(富山地方鉄道に吸収合併)TLR0600形(2006年)

・富山地方鉄道デ9000形(2009年)

・万葉線MLRV1000形(2004年、富山・高岡)

・福井鉄道F1000形(2013年)

・えちぜん鉄道L形(2016年、福井)

・岡山電気軌道9200形(2002年)

・熊本市電0800形(2009年)

~リトルダンサー(国産電車、タイプも併記)~

・札幌市電A1200形(Ua・2013年、北海道)

・札幌市電1100形(S・2018年、同)

・函館市電9600形(C2・2007年、同)

・富山地方鉄道T100形(Ua・2010年)

・福井鉄道F2000形(L・2023年)

・豊橋鉄道T1000形(Ua・2008年)

・阪堺電気軌道1001形(Ua・2013年、大阪)

・阪堺電気軌道1101形(Ua・2020年、同)

・伊予鉄道モハ2100形(S・2002年、愛媛)

・伊予鉄道モハ5000形(S・2017年、同)

・とさでん交通100形(L・2002年、高知)

・とさでん交通3000形(Ua・2018年、同)

・筑豊電気鉄道5000形(Ua・2015年、福岡)

・長崎電気軌道3000形(U・2004年)

・長崎電気軌道5000形(Ua・2011年)

・長崎電気軌道6000形(N・2022年)

・鹿児島市電1000形(A3・2002年)

・鹿児島市電7000形(A5・2007年)

・鹿児島市電7500形(X・2017年)

~JTRAM(国産、いずれも広島電鉄)~

・5100形(2005年)

・1000形(2013年)

・5200形(2019年)

 この他函館市電8100形も2002年にデビューしているが問題点が続出。1両のみの存在となっている。ちなみに定員が最も多いのは宇都宮ライトレールHU300形の160名(座席定員では広島電鉄5200形の58名)、最も少ないのは伊予鉄道モハ2100形の47名(座席定員では当形式と岡山電気軌道9200形の20名)となる。