第11話【居場所】


茜のご両親の配慮もあり、
私は葬儀に参列する事が出来た。

本当なら ハンカチを握りしめる手で、
私を殴りたい気持ちだっただろう。
大声で罵倒したかっただろう。

ご両親が私と目を合わせることは
一度も無かったが、
責めることもしなかった。

娘を失ったのに、
その原因をつくった私のことまで
考えてくれた
ご両親の気持ちを考えると、
申し訳なさで胸がいっぱいになった...


茜と最後のお別れをして、
ご両親に謝罪と感謝の意を伝えたあと、
私は家に帰った。
そして、荷物をまとめた。



―次の日―

毎日 袖を通していた制服を着て、
毎日 茜と歩いていた道を通って、
学校へ向かった。

全ての責任をとって、
退学届を提出するためだ...


学校に行くと、
あの"フリージャーナリスト" の男が
正門の前に立っていた。

    男「菅井さん!
            守屋さんが事故で、
            病院に搬送されたそうですね。
            ケガの具合いはどうですか?」

友香「もうこれ以上、
            私達には関わらないで...」

    男「他の報道各社も、
            この件に興味を持ったらしい。
            大まかな内容だが、
            一部では報道されている。
            守屋さんと話をさせてくれないか!」

友香「茜は...もういません」

    男「それはどういうことだ...?」

友香「私は茜を助けられなかった。
            ただ、それだけです」

一度止めた足を再び前に動かした。
後ろで "男" が私の名前を呼んでいたが、
私は振り返ることなく、
正門をくぐった。



その後、
校長から最終的な処分が言い渡された。

"自主退学の勧告"  だった。

図書室で起こった事は
あくまでも偶発的な事故であり、
学校側に過失はない。
しかし一人の尊い命を奪った事、
学校内外を混乱させた
その責任は重い。

という理由のようだ。


校長「今回のことは、
            本当に気の毒な出来事でした。
            学校内には "退学を"
            という意見もありましたが、
            それでは何も解決しません。

            守屋さんは残念ですが、
            菅井さんには未来があります。
            この一つの出来事で、
            人生を棒に振って欲しくない。
            なので退学処分ではなく、
            勧告処分にしました。

            重い十字架を
            背負うことになりますが、
            しっかり前を向いて
            生きていって下さい」

友香「この度は、
            ご迷惑をおかけしました。
            全ては私の責任です。
            退学届を書いてきましたので、
            提出いたします。
            今まで、お世話になりました」

校長に退学届を手渡し、
私は校長室を出た。

学校に置いてある私物は、
神崎が宅配便で
自宅に送ってくれることになった。
学校生活を共にしてきた生徒達と
顔を合わせづらいだろうから...
という配慮のようだ。

神崎は正門まで見送ると言っていたが、
その申し出は断った。


最後にどうしても、
行きたい場所があったからだ...