肥後国 熊本藩八代城の城下町あたりを舞台にした
彦一とんちばなし という民話があります。
児童文学などにも盛んに採り上げられることも多く、一休さん、吉四六さんと並び
特に知られるとんち者です。
しかし、モデルが誰なのか、また実在の人物なのか否かは不明です。
絵:八代城跡 ・・・ 江戸時代初期に球磨川河口の松江に幕府の許可を得て建築されたことから松江城とも言う。
現在は、本丸と堀外の北の丸の一部は公園として整備されている。
「彦一とんちばなし」には、こんな動画ありました。
作:熊本の心 さん
この本の表紙、、、 小学生のころ図書室で見た、見た、見た!!
♪(o ̄∇ ̄)/ナツカシ~
「彦一とんちばなし」で有名なものには、次のようなものがあります。 (Wikipedia より)
- 天狗の隠れミノ
- 彦一の家の近くの山に住んでいる天狗は、着ると姿を消すことのできる
隠れミノを持っていた。彦一は天狗の隠れミノが欲しくてたまらなかった。
そこで彼は知恵を働かせ、竹を一本切り、あたかも遠くを眺めているかのように
はしゃぐのだった。それを見ていた天狗は「それは何か」と尋ねたところ、
「これは遠眼鏡じゃ。遠くにある物、何でも見えよる」と言い返す。
譲ってくれと天狗は頼むが、彦一は譲らない。それならば隠れ蓑と交換してくれと
天狗が言うと、彦一はすぐさま竹筒を手放し、素早く隠れ蓑を身に付けてしまった。
一方、竹筒を覗いても何も見えず、騙されたと知った天狗は怒るが、
既に彦一の姿は見えなかった。彼はまず家に帰って妻を驚かせる。
調子に乗った彦一は色々と悪戯を思いついては実行し、
あげくの果てには酒屋に忍び込み、好物の酒をぐびぐびと呑んでしまうのだった。
そして彼は酔っぱらい、家に帰るや熟睡してしまった。
その間に、妻が蓑をがらくたと勘違いして竈(かまど)で燃やしてしまう。
目を覚ました彦一は蓑がないので妻に問いただし、
「ミノは燃やした」と言われてびっくりするが時既に遅し。
しかし、試しに残った灰を体に付けてみたところ、ものの見事に姿を消すことが出来たので、
彼は喜び、まだ呑み足りないのか再び酒屋に駆け付けた。
しかし、今度は酒を呑んだことによって、口の部分の灰が剥げてしまい、
彦一の口だけが空中に浮いている形となった。
それを見て「お化けだ!」と驚いた酒屋の主人に追い回され、
最終的に彦一は川に落ちて灰が全部流れ、みっともない
裸をさらしてみんなの笑い者になってしまったのだった。
- 石肥三年
- 狐たちの間では、みんなが痛い目に遭っている彦一に一杯食わせようと企む奴は少なくない。
ある狐は、夜のうちに彦一の家の畑に大量の石を投げ入れ、
近くに隠れて様子をうかがっていた。
翌朝になって畑にやって来た彦一は驚いたが、これが狐の仕業だと気付くと、
わざと嬉しそうな顔をして、
「こりゃ助かった。石の肥料は三年はもつ。これが馬の糞だったら大変な所じゃった」と、
狐に聞こえるような大声で嘘をついた。
これを真に受けた狐はその夜に石を全部取り除き、代わりに馬の糞をどっさり投げ入れた。
翌朝、彦一は「困った困った」と言いながらご機嫌な顔で畑を耕し、
狐はこれで彦一を困らせてやったと満足して帰って行くのだった。
- 知恵比べ
- 彦一の頓智ぶりは八代城下の評判となっていた。
- 一方、お隣、豊後国に吉四六というこれまた頓智の上手い男がいるという。
- 噂は広まり、いつしか二人は近所のお寺の余興で頓智合戦を行うこととなった。
- しかし、始まったはいいが、二人とも知恵が回るので、なかなか決着が付かない。
- そんなとき、判定をしていた和尚は二人にこう伝える
- 「今から、一番そなたにとって一番必要なものを作ってこい」。
- 二人はしばらくしてから戻ってきた。まずは庄屋でもある吉四六が自信ありげに
- 「わしは、見てのとおり、商いに欠かせない天秤棒を作ってきた。そなたはどうじゃ?」
- と尋ねる。すると彦一が「それならわしの勝ちじゃな」と返す。
- だが、彼は藁を一本刈り取っただけの代物だった。
- 怪訝そうに「どういうことじゃ?それは、ただ、藁を刈っただけではないか?
- それがそなたにとって必要なものなのか」と問い尋ねると、
- 「そうじゃ、わしが今一番必要なのはそなたに勝つことじゃ。
- だから、刈った(勝った)だけでよかろう」と返す。
- はっとする吉四六に対し、和尚は「これは見事じゃ、彦一の勝ちじゃ」と返した。
- なお、これと似た話は吉四六話にもあり、そちらでは吉四六が勝つ話となっている。