
有吉の毒舌は紳助の毒舌と何が違うのか?
それは、有吉の即興性だろう。
有吉の芸風は音楽でたとえるなら
ヒップホップのMCバトルのラッパーの
ようなものなのです。
紳助の毒舌が
「特定のタレントをイジるよくできたネタ」なら
有吉は「ネタ」を持たず、優れた批評性を持って
目の前のタレントを即興でイジる。
改めて用意しておいた台本を感じさせない
ドキュメンタリー性を持った笑いに
人々は魅了されるわけです。
ネタを持たないだけに
毎回爆笑が起こるとは限りませんが
逆に次に何を言うのかわからない
面白さを秘めているのです。
それはとてもテレビ的な瞬間芸です。
あらためてお笑い界のレジェンドたちと
有吉を並べた時、有吉の「ネタ」のイメージの
少なさが際立つ。
たとえば明石家さんまなら
トークの最中に離婚届にハンコを押す
仕草で笑いを取る姿が目に浮かぶ。
上の世代のレジェンドは
すべて珠玉のネタを持っているが
有吉には決定的なネタがないのです。
これはやはり往年の名曲を演奏する歌手たちと
その場でフロアの客を乗せるラッパーの
違いによく似ています。
彼には楽曲の完成度を期待はしていない。
彼がマイクを取った瞬間
次に何を言うのかが聴衆は知りたいのです。
有吉はまた、複雑に絡み合った芸能界を
あけすけにお茶の間に伝える解説者でもある。
その真骨頂が「あだ名芸」で
なんだかよくわからない下駄を履かされた
タレントの本質を、あだ名を付けることによって
丸裸にし、わかりやすく解説する。
たとえば、爆笑問題や浅草キッドなど
芸能界・お笑い界の解説者的な存在はいましたが
彼らがインテリ・オタク向けに射程を捉えたのに対し
有吉はバカにもわかりやすく解説した。
芸能の世界の池上彰のような存在なのです。
予定調和に疑心暗鬼を覚え
とにかく誰かに解説してもらいたい
願望を持った現代のニーズに
有吉はぴったりハマっている。
有吉は不安な時代における救世主だ。
有吉が象徴する最大の武器を挙げて締めよう。
それは笑顔だ。
あんなに老若男女に愛される
笑顔を持った芸人を、そう多くは知らない。
不安な世の中は今、有吉の笑顔を欲している。
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次回に続く