介護に
際しての心理状況が
よく理解できます。
産経ニュースより。
高見国生
の
認知症と歩む
初期だからこそつらい
認知症の早期診断が進むにつれ、診断された人は認知症として生きる人生が長くなりますし、介護する家族の介護の期間も長くなっています。
症状が進むほど介護は大変になると思われがちですが、実は初期の頃の方が本人も家族もつらくて大変なのです。
《夕方になるといつも泣き出していた。なぜ悲しいのかと聞くと、「こんなバカになってしまって…」という言葉が返ってきた。近所に出かけると、人が通りかかるたびにもの陰に隠れようとしていた。「こんなバカになった姿を他人に見られたくない」、そんな言葉が返ってきた》
これは以前、「認知症の人と家族の会」の会員に、介護している中で「ぼけても心は生きている」と思った経験を尋ねたときに寄せられた回答です。
認知症になったからといって、決してバカになるわけではないのですが、物事が覚えられなくなったり、できなくなったりすることの不安をこう表現されたのです。
この時期は、不安と悲しさで本人が最も混乱するときです。
一方、家族の方も、本人の言動にどう対応してよいのか分からず、悩み戸惑う時期なのです。
双方がパニックに陥る時期ともいえます。
できるだけ早く抜け出るためには、どうすればよいのでしょうか。
それは、家族が認知症の人の言動の背景にあるものを理解して、本人の不安を小さくするような対応をすることです。
つまり、
本人を変えようとするのでなく、家族が気の持ちようを変えて、相手に合わせた介護の仕方を考える、ということです。
「そんな大変なことはできない!」と思われるかもしれませんが、そんなに難しいことではありません。
そのためには、
認知症の人の言動の意味を知ることです。
【プロフィル】
高見国生
たかみ・くにお 認知症の養母を介護し、昭和55年に「認知症の人と家族の会」を設立。平成29年まで代表を続け、現在は顧問。同会は全国に支部があり、会員数約1万1000人。
「認知症の人と家族の会」電話相談 平日午前10時~午後3時、0120・294・456