脳神経組織 と認知症の関係 | フレイルも認知症も減らない日本

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ウイルスと戦争の世紀で人生を終えることになるとは・・・まさに第三次世界大戦前夜の状況ですからね しかも本日は日本の金融市場はトリプル安

おもしろい
診断名は
聞き飽きました。


実に最前線は
地味な病名ばかり

今日の症例も凄かった。

しかし、
降圧剤でどこまで
血圧を下げると
気が休まるのでしょうネ。

どうも、
収縮期血圧70台でも
許せないようです。

血圧が下がったうえに、
除脈でしたので❓
お薬手帳を見てみれば、
鎮座されます、
懲りんエステラーゼ阻害罪。

罪です。


nounowより。



1337例の剖検
から分かった
脳神経組織
と認知症の関係



剖検による
軽度認知障害や認知症患者
の脳組織の分析、評価した
アメリカでの研究結果を
発表した論文をご紹介します。


脳の研究におけるハードル


人間の脳の研究には、
ある大きなハードルがあります。

それは、
組織を採取することが
難しいという点です。

胃の組織や、
大腸がんの組織を
入手することは
さほど困難ではありません。

一部をつまんでとっても、
出血さえ止まれば
大きな問題とはならず、
そのうち傷も治ります。

もしくは、
手術で摘出した
がんの一部をもらえば、
組織検体を入手することが
容易にできます。

しかし、
こと脳の研究に関しては、
「研究のために
少し脳の組織を
余分にとりますね」
と医師から言われても
了承する人は皆無でしょう。

脳腫瘍そのものであれば、
残余組織から
研究用の検体をとることは
可能ですが、
脳腫瘍の手術の際には
まわりの正常部分を 
多めにとってくることは
できないので、
腫瘍の研究にしかなりません。

こうした理由で、
脳の研究をする際には、
マウス・ラットや、サルなどの
実験動物の脳を用いるか、
剖検(解剖)によって
検体を採取して行うのが一般的です。

しかし近年、
病死に対して
剖検を行うことは
少なくなっています。

なかなか
亡くなった家族の体に
メスを入れることを
承諾できる人は少なくなっています。

そのような背景の中、
認知症患者の脳組織が
どうなっているかについての
研究がアメリカから出されました。

軽度認知障害(MCI)や認知症を
有している1337人を
亡くなった後に解剖し、
神経病理学的に
分析・評価したというものです。


脳組織と認知機能の関係


剖検1337例について、
ベースライン時、
および、
死亡時に
どのような症例であったかを
研究しています。

調査期間の平均は、
臨床診断後7.6年で、
臨床での最終評価から死亡までは
2年未満でした。


No Impairment群(463例)
:ベースライン時の評価が正常であり、そのまま認知機能低下の診断がつかずに死亡にいたった症例

MCI Reverters群(122例)
:ベースライン時にMCIで、死亡時には認知機能が正常と評価された症例

Stable MCI群(343例)
:ベースライン時、死亡時ともMCIが認められた症例

Dementia群(409例)
:ベースライン時にMCI、死亡時に認知症と診断された症例

上記4つの群に分けて
解析が行われました。

結果としては、
下記の通りです。


MCI Reverters群では、
Stable MCI群と比較して
中程度の細動脈硬化が 
起こりにくい傾向が
認められました。  

また、
Dementia群より、
神経原線維変化(NFT)の病理所見、
レヴィ小体病、海馬硬化症
および中程度の細動脈硬化
を認める割合が低く、
老人班の出現数も
少ない傾向が認められました。

Stable MCI群では、
No Impairment群より、
中頻度から高頻度の老人班、
老人班を欠く
NFT(原発性年齢関連タウオパチー)
および
レヴィ小体病がみられる
傾向が2~3倍、
広範囲にわたる
神経原線維変化の病理所見 がみられる
傾向が5倍、
重度の細動脈硬化がみられる
傾向が7倍
という結果でした。

また、
Dementia群より、
広範囲にわたる
神経原線維変化の病理所見、 
中頻度から高頻度の老人病、
レヴィ小体病
および加齢による海馬硬化症
がみられる傾向が低い
という結果でした。

さらに、
ベースライン時に
MCIと診断された
患者のほとんどに、
混合型アルツハイマー病(AD)
の病理所見が認められました。

軽度認知機能障害(MCI)と剖検時の所見


ひとたび
軽度認知機能障害であると
判断されたケースであっても、
死亡時に認知機能障害が無いと
判断された患者は、
解剖しても
認知症特有の所見が
あまり見られない、 
というのは印象的な結果です。

軽度認知機能障害の診断は、
必ずしも
病理学的な変化を表している
とは限らず、
場合によっては
可逆的な段階なのかもしれません。

一方、
ベースラインも死亡時も
認知機能障害がある群では、
認知症の程度と比例した
病理学的所見が
認められたことから、
臨床症状が
病理学的所見を
きちんと反映していることを
示唆しています。

今回の記事でご紹介した論文
Abner EL et al. Outcomes after diagnosis of mild cognitive impairment in a large autopsy series.
Ann Neurol 2017 Apr; 81:549.