入浴も命懸けです。
毎日新聞より。
血圧急変
高齢者の変動幅30以上
高齢者が寒い浴室で風呂に入ると血圧が
30以上変動するとの実験結果を東京都健康長寿医療センター研究所の高橋龍太郎・前副所長らがまとめた。
浴室を暖かくすると変動幅を半分程度に抑えられたという。高齢者に多い入浴中の死亡の原因になると考えられ、高橋さんは「脱衣室や浴室を暖房器具で暖めるなど、気温差の少ない環境づくりを心掛けてほしい」と話している。
実験は東京ガスの試験室で実施。
62~77歳の男性31人が参加し、風呂に入ってから出るまでの血圧などの変化を調べた。
脱衣室と浴室の温度を18度、湯を41度にした場合、服を脱いだ直後に平均で
154に上がった最高血圧が、風呂に入ると122に急降下。
風呂から出ると再び急上昇した。
血圧の変動は、温度の変化によって血管が収縮したり、拡張したりするために起きると考えられ、変動幅は32~35だった。
脱衣室、浴室を25度にすると、
血圧の変動幅は15~22に縮小した。
高橋さんによると、
高齢者の血管は硬く、
弾力性がないため
血圧の変動幅が大きい。
加えて脈拍数が少ないため、
血圧の急降下で
脳に必要な血液を届けにくくなり、
入浴中に意識障害
や失神を起こしやすい。
同研究所は、これまでに全国の消防本部への調査を基に、急激な温度変化による健康被害で、高齢者を中心に年間約1万7000人が入浴中に死亡したとの推計を発表。
気温が下がる1月の心肺停止者数は、8月の約10倍に上ると注意喚起している。浴室内をシャワーで暖めたり、脱衣室にドアや仕切りを付けて暖房装置を置いたりすることが有効な対策とされる。
■ことば
入浴中の事故死
代表的な原因として、温度変化に伴って血圧が急激に上下し、失神や心筋梗塞(こうそく)などを起こす「ヒートショック」が指摘されている。東京都監察医務院によると、2014年、都内で死亡直前に入浴中だった人は1442人いた。全国では交通事故死者数を大幅に上回ると推定され、
シャワーだけで済ませる海外の国に比べても多いとされる。入浴事故の多くは1人で入浴している比較的元気な高齢者に起きており、未然に防ぐための対策を求める声が強まっている。